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「さて、と。次はおまえだな!」
『えっ?!私なにかしましたか!?』
「ちょっと待ってろ。」
そういうと土方さんは自室に入りすぐに戻ってきた。
「うちの大将からだ!受け取れ。」
『えっ?!なんですか…この封筒』
「就職祝いだとよ。」
渡された封筒は厚みがある…一体いくら入ってるんだろうか
『う、受け取れません! ただでさえ家賃も食費も払っていないのに…お祝いまでいただけません!』
「いいから受け取れよ。近藤さんの気持ち無下にすんじゃねーよ。」
『でも……』
「大体おまえ、ここに来てからずっと隊士の寝間着着てるじゃねーか!なんかお前が着たいやつ買え!女のもんは俺たちにゃ分からねーからな。」
そういうと封筒を無理矢理握らせる土方さん。
『……すみません……なんか……こんなわたしのために……』
「ばかやろー。こういうときはありがとうございます!だけでいーんだよ。変に気つかうことも自分を無下にするのも俺は気にくわないからな!わかったな?」
『……はいっ!…ありがとうございます!』
「はい。よくできました!」
そういうと私の頭をワシャワシャして穏やかに微笑んだ……
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「こんなおばちゃんのお古で申し訳ないねぇAちゃん…」
『そんなことないです!素敵な着物です!本当に!』
「またまたぁこの子は本当に誉め上手だよ…よし…これで完成!」
鏡にうつったのは着物姿のわたし。
体型のせいで力士に見えないか心配だったけど……
女中頭が着付けしてくれたおかげでちゃんと着れた。
トントン……
「用意できたか?」
『はい!できました!』
襖を開けるとそこには土方さん。
「着物似合うじゃねーか。じゃ行くぞ!女中頭助かった!ありがとな」
「はいはい。着付けなんていつでもしたげるからデート楽しんできなさいね副長どの♪」
「バッ……!!そ、そんなんじゃねーよ!コイツの買い物付き合ってやるってーだけだ!」
そう。
封筒を受け取ったあと、今日は非番だという土方さんが買い物に付き合ってくれると申し出てくれた。
しかも服を持っていない私を気遣って、女中頭に着物を借り着付けまで頼んでくれた……
土方さんって色んなことを瞬時に考えて行動できて……さすが副長だなぁ。いや、副長だからすごいのではなくて土方さんがすごいんだな……
なんて考えながら土方さんについていった。
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作者名:Zoo | 作成日時:2020年5月14日 22時