Full of love

kiss face　ー紫廉 ページ13

永side



「はよー」



今日はいつもより少し遅くに楽屋入りした俺



まぁ遅刻やないし、いっか



なんて考えも吹き飛んでしまうくらいの勢いで誰かが俺に抱きついてきた



その瞬間、丁度閉まったドアに背中が勢いよくぶつかってしまった



いつもなら



“ もう誰やねん！痛いわ！辞めろや！！ ”



と、キレてた俺やったけど今回は出来んかった



抱きしめられたと同時にその人の香りが俺を包み込んで



鼻が優れているほうの俺にはすぐに誰か分かってしまったから



無臭やない、TOKIOさん(がつけてそうな香水)でも無い、実家でもない、この香水の香りは



「どうしたん、しょお」



紫耀やった



てか、倒れたりしたらどうするつもりやったん？



俺、ガリガリなこと忘れてへんよな？



そんな事考えたりしながら、もう少ししたら離れるやろうと



紫耀が離れるのを立ったままの状態で待った



でも、しばらくしても紫耀は離れる気が無いようやった



流石に、俺も俺で最近ドラマ撮影が始まったりしとったから



はやく荷物を置いてはやく座って、少しの間でも体を休めたかった



そんな俺の気持ちを読みとったのか紫耀は俺を軽々と抱っこした



「ちょっしょお！俺、重いて！」



いくら細身の俺でも、赤ちゃんくらい軽い体重では無いからさすがに遠慮した



そんな俺の言葉も届かずに、紫耀は無言のまま歩きはじめた



俺の荷物を奪えば近くに置き



そのままソファーへと移動し、そして座った



抱っこされていたままの俺は、



膝に座った状態で向かい合い、ギューしているという体制が自然に作られてしまった



「なぁ、しょおどおしたん？」

「……」

「なぁ、しょおってばぁーもう、キスしちゃうでぇ？」



からかったつもりやった



「！！」



でも、今まで無言だった紫耀が急に反応した



え、もしかしてキス…しろってこと？



「ほ、ほんまか、、」



俺からのキスがほしくてずっとくっついとったん？



でも、ここ楽屋やで？



「ほ、ほんまにキスすんで、？」



と言い、上半身を離した瞬間に紫耀が顔を上に上げた



そして俺は、紫耀の顔に目を閉じて近づき



紫耀の柔らかな唇の感触を味わった



顔を離して紫耀の顔を見れば少し寂しそうな表情を浮かべていて、俺は戸惑ってしまった



だけど、そんな紫耀から何故か目が離せなかった



そしてしばらく見つめ合った後、紫耀は俺を解放してくれた

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