あの双黒がオタクだった件について。【文豪ストレイドッグス】

《番外編》オタクでも辛いことがあれば泣きたくなるものさ。その5 ページ27

なんで、敵の首領がこんな所に。

いや、そんなことどうでもいい。

逃げなきゃっ！！

脳内の警告と同時に私は急いで異能力を発動し距離をとった。

私のその様子を見て石村卓造は慌てることなくゆっくりと歩いて私の方に向かってくる。

まるで、狩りを楽しむ獣のように。

「はあっ･･･はあっ･･･｣

走る度に息が苦しくなる。

体力の限界なのか、はたまた死の恐怖から呼吸が困難になっているのか。

「貴方はさながら赤ずきん。

そして私は赤ずきんを食べる狼･･･。

さぁ！！早く逃げなさい赤ずきん！！

狼に食べられてしまいますよ！！」

ケラケラと笑いながら狂ったように彼はそう叫んだ。

頭を働かせてどうにか現状の打開策を考える。

しかし頭に浮かぶのは私が無残に殺される姿だけだった。

「っ･･･くそったれ！！」

やけくそ気味に大声でそう叫んだ。

汗が頬をつたい地面にポタリと落ちる。

「･･････やめました。

私ってスリリングな事は大変好きなのですが

その分大変飽きっぽいんですよねぇ。」

彼は突然そう言ってふっと、つまらなそうな顔をした。

そして容赦なく私に紅炎を放ってきた。

「うあああああっ!!!」

遥か後方に吹っ飛ばされ私は木の幹に体を打ちつけてしまった。

「がはっ！！」

強烈な痛みが体を襲う。

そして私はドサリと前のめりに倒れ込んだ。

「はぁっ･･･やはり女性の悲鳴だけはいつ聞いても飽きません･･･。」

石村卓造は高揚した顔で私に近づいてくる。

そして片手で私の首を絞めながら持ち上げた。

「うっ、ぐうっ･･･ゲホッ･･･」

酸素を求めて口をパクパクと必死に動かすも息を上手く吸えない。

「貴方はポートマフィアの構成員。

丁重に殺さねばなりません。」

そう言って彼は私の首を絞めている手から炎を出し始めた。

言葉にならない痛みが喉を駆け抜ける。

「首を絞めつけられる苦しみと喉を焼かれる苦しみ･･･。

最高の苦しみを味わいながら死になさい。」

ニタリと不気味な笑みを浮かべて彼はそう呟いた。

ふざけんなっ･･･。

お前の思い通りになんて死んでやるかっ！！

私は残された力で大きく息を吸った。

「お前がっ･･･死ねっ！！」

私はそう言ってニヤリと笑う。

「はははっ！！

そんな事を言ってきた女性は貴方が初めてですよ！！

ですが、残念です。」

そう言って彼は更に首を絞める手の力を強めた。

目の前が霞む。

意識が遠のいていく。


「ちゅ、や･･･さん。｣

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