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響香ちゃんは楽器演奏が得意な子みたい。個性も耳から出ているイヤホンを使って音で攻撃するものらしい。
「そいやこの間の授業で轟が姫抱っこしてたからAが何の個性使うのかよく知らないんだけど…リカバリーガールみたいな回復？」
『あ、あれは忘れて…。…私の個性はちょっと変わってるものみたいでね。頭に浮かんだ言葉を紡ぐと回復も補助も攻撃も出来るの。一応魔術で登録してるよ』
「へー！何でも出来るんだな…！ちょっと羨ましいよ」
『詠唱しないと出ないから接近戦とかになったら多分苦手だと思うけどね』
お昼ご飯を食べながら楽しく談笑していた。
するとその時、大きなサイレン音が校内に響いた。完璧なセキュリティシステムで守られている学校の門を何者かが突破したらしく、周りの生徒たちが騒然としている。
「！ なんかヤバそう…ウチらも避難しよう！」
『う、うん！』
席を立って他の生徒たちと同じように廊下へ走る。
ーーー
『ううー！くるしぃ…！』
「くっそ…A！はぐれないようにね！」
『がんばるうう』
廊下は既に生徒でいっぱいで、我先にと避難する為非常口へ大勢押し寄せていた。
朝の電車よりも混雑していて押され揉まれを繰り返していたらいつの間にか響香ちゃんとはぐれてしまっていた。
『響香ちゃ…！っい、いたッ…いてっ…』
響香ちゃんを探そうにも人が多すぎるし、私が小さいからなのか体の大きな男の子の肘が頭や顔に当たり痛くてちょっと涙目になってた。こっちが見えてないんだろうなあ…。
そしてもう一回肘が当たりそうになった時、誰かに腕を掴まれぐいっと壁際の方まで連れてこられた。
『！ あ、ありがとう…』
「いや、…あそこからじゃ自力で抜け出せなかっただろうしな」
引っ張ってくれたのは見たことない男の子だった。目がちょっと気怠げでほんのり隈がある。
『えっと…』
「…C組の、普通科の心操。お前、ヒーロー科だろ。A組の五月雨」
『わ、私の事知ってるの…？』
「ヘドロに飛び込んで行った奴って聞いてるぜ」
『あ〜…あれ新聞にも載っちゃったんだよねえ…顔出てたし恥ずかしいなあ…』
その時の事を思い出して苦笑いした。
心操くんが壁際に寄せてくれているお陰でぶつかられる事は無いけれど、彼が密着する形になってしまってて少々恥ずかしい。
多分状況的にこれが俗に言う壁ドンというやつ。
『な、なんかごめんね…』
「いや…こっちこそ…」
.
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通りすがりの読者 - すごく大好きです。ありがとうございます。 (2020年4月7日 20時) (
レス) id: e61e95ec0f (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - すごい面白かったです！大変だと思うけど更新頑張ってください！！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 232c0cd734 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なさ | 作成日時：2020年2月13日 2時
