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痛々しくて思わず眉を顰めてしまった。
『あ、の…』
「…あ。…あら、やだ。さっきちょっと転んでしまってね。こんな所ぶつけちゃうなんて恥ずかしいわ」
痣を気付いた事に気を遣わせてしまったけれど、実際暴力を振るわれている所を見ていないから叩かれたんですよね、大丈夫ですかなんて聞けない。
勢いで勝手に此処まで来てしまったけれど、家庭の事情というものもきっとある。それにきっと私みたいな小娘一人の力で何とか出来る問題じゃない。
(…情けないけど、私に出来る事はこれくらいしかない…)
すぅ、と深呼吸をしてから焦凍くんのお母さんに手を向ける。
『ーーー癒しの風よ、ヒールウィンド』
「！ あたたかい…」
柔らかなあたたかい風に纏われ、痣が徐々に消えていく。
聞きたい事、言いたい事、沢山あるけれど赤の他人があまりずかずかと入り込んではいけない。ぐちゃぐちゃ考えながらだったからきっと変な顔になってたと思うけど、出来る限りの笑顔で言った。
『…焦凍くん、さっきさむそうにしてたからお風呂であったまってきた方がいいよ！風邪ひいちゃうから！』
「ん、…うん」
「…そうね、体も冷えているし…、…あなたも濡れちゃったなら一緒に…」
『ううん！そろそろ帰らないとおとうさん、まってるから！じゃあね！』
年相応の子供のフリをした。急に明るく振る舞ったから何処か違和感もあったかもしれないけれど、目の前にいる人達の為に何も出来ない悔しさを隠しつつその場から逃げるように走り出した。
走る背中に向かって「ありがとう」と言う声が聞こえてきたけれど、振り向かずにそのまま家に向かった。
ーーー
夕暮れ時、家に着いてドアノブを引いたら鍵がかかっていてまだ父が帰って来ていない事がわかり、少し安心する。
(結構長い間外に居たからなあ…こんな時間に居ないのが分かったら心配させちゃうもんね)
斜めがけの小さな鞄の中から鍵を出してロックを解除する。
家の中に入ると外出中に篭った熱気がむわっと押し寄せてきたので小走りで窓を開けにいく。
この時間だからか外ももうそこまで暑くはないし、寧ろ寒いくらいに感じる。気のせいだろうか。温度計を見ると27度になっている。寒くはない温度のはずだけれど、長い間散歩していたから疲れてしまったのか体も怠いし何だかとても眠い。
ちょっとだけ寝ようかな…、とソファーに横たわりそのまま目を閉じた。
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なさ(プロフ) - 夜月 零夜さん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟者ですが頑張ります！！ (2020年2月11日 13時) (
レス) id: f613967be2 (このIDを非表示/違反報告)
なさ(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！とっても天然な主人公ちゃんですが気に入っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！頑張ります！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: f613967be2 (このIDを非表示/違反報告)
なさ(プロフ) - レーナさん» 返信昨日ある事に今更気付きましたすみません…！応援ありがとうございます！頑張ります！れんこん！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: f613967be2 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 零夜 - 面白かったです！更新頑張ってください!! (2020年2月7日 16時) (レス) id: 3da7626fa3 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - すごく面白い！主人公ちゃんが可愛い！頑張ってください！ (2020年2月5日 23時) (レス) id: 171cb6aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なさ | 作成日時：2020年1月29日 3時
