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kj「なぁ、まだ俺にお節介焼くつもりなん？」
次の日の夜は、康二が家を出ようとしたタイミングで声をかけた。
iw「俺のこと連れてってよ」
kj「っ、なんで、」
iw「どうやって仕事してんのか知りたいから」
kj「・・・ついてくんならこっち、」
言われるがままに近づけば康二が俺の腕を掴んで虹彩の色を変えた。
瞬間移動で辿り着いた先は、彼の叔父が契約していたあの古いマンションだ。
俺の存在を気にする素振り1つ見せず部屋の奥へ消えていく姿は、日中同居人にちょっかいを出しに行く人物と同一なのか疑ってしまうほど。
丑三つ時が過ぎる頃、開いたドアから顔を覗かせたのは一人の男性。
kj「こんばんわぁ」
よく見る笑顔を貼り付けてトタトタと駆けて行った後に連れてきたさっきの男性は、一人の女性をおぶって俺の居るところまできた。
「えっ、と彼は…？」
kj「お仕事見学やって。気にせんといて」
女性のことをベッドに寝かせるように話していたから、座っていた俺は場所を譲って。
kj「脊髄損傷、やっけ」
「そうです。先日事故に巻き込まれて、意識を取り戻したと思ったらお医者さんからそう告げられて…」
現に女性はへそから下の感覚が無いらしく、起き上がるのも困難らしい。
「お医者さんからは怪我と一生付き合ってって言われたんですけど、本当に治るんですか・・・」
女性が康二を見る視線は不安に染まっているけれど、そんなのを諸共せずに康二は笑う。
kj「ちょーっと大変かもしらん。せやけど、少しずつ治ってくから安心してな。」
目瞑って、女性が指示に従ったのを見計らって康二はその脊髄辺りに触れた。
kj「はい、今日はここまで」
あまり変化の見られない患者を返し、その日は他にも何組かの怪我を治していく様子を見届けた。
kj「…っ、はぁ。もう朝なるし帰ろか」
本当に俺が邪魔をしなかったからだろう。
少し汗を滲ませながらも振り返った康二の顔は自然に笑っていて。
そのまま立ち上がろうとベッドに手をついて足に力を入れた、ように見えた。
iw「っおい、」
kj「おおきに、あやうく俺が大怪我するところやったわ」
ぐらりと傾いた身体を受け止めると、息が上がっていて若干熱を持っているような気がした。
この一晩で能力を使いすぎて明らかに体力に響いている。
帰りは俺の瞬間移動を使って家に戻った。
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作者名：紗絢
| 作成日時：2020年11月2日 17時
