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iw「＿＿＿やっぱり」
夜、自室から出て階段を下りて玄関に向かう。
3日前から今日までのこの時間に同じ靴が無くなっている。
日付の変わる少し前、俺がランニングを終えた直後見た時は間違いなくあったから、まるで周りが寝静まったのを見計らって出て行っているらしい。
チャットアプリの呼び出しが消えたと思えば、スマホの画面には応答がありませんでしたの文字。
康二とのトークルームには不在着信履歴が3つほど続いている。
康二の深夜外出に気づいたのはたまたま。
最初は寝付けなくて散歩に出ているのかとも思った。
けれど、最近晩御飯の後にテレビを見ながら船を漕いでいる姿を見かけることが増えたから寝れないわけではなさそうで。
カメラマンに戻ると話をしているものの、かつての仕事は失踪期間に他の人へ引き継がれてしまい枠を空けてもらうには準備期間が必要らしく今は無職のはず。
わざわざ周りから気付かれないように出かける意味はない。
kj「っえ、ひかるく…」
リビングで眠気覚ましがてらストレッチなどで身体を動かしたり、主に佐久間が使っている有料動画サービスで興味のあるドラマを見ていたら深夜4時ごろ。
かたり、という音で玄関を覗けばそこにはオレンジの瞳をした康二が立っていた。
iw「どこ行ってた？」
固く結ばれてしまった口を開けさせるのは容易くない。
ダメ押しの言葉をかけてみれば、ようやく話す気になったみたいだ。
iw「阿部とかふっかには黙ってやるから」
kj「…言わなあかん？」
iw「康二の行動次第で俺らの今後も変わってくるからね」
この状況下で優位に立てるのは疑う者と疑われる者のどちらかなんて説明するまででもない。
もちろん康二も気づいているから隠そうとしているのだろう。
kj「仕事、してた」
iw「仕事ってまさか、まだノードクターの」
コクリ、と首が上下に動いて、俺はほぼ無意識的に溜息をついた。
iw「支配人はもう捕まってんだぞ。」
kj「知っとるよ、そんなん。」
iw「ならもう辞めろって」
俺の説得まがいな言葉に対し意識的に作った喜を表す表情で発した内容は、失望。
kj「＿＿＿＿そんなら、あん時捕まったほうがマシだったのかもしらんな」
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作者名：紗絢
| 作成日時：2020年11月2日 17時
