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ab「ねぇ、すごい言いづらいことなんだけど・・・
叔父さんもかつての同級生も、単に治癒能力を利用してたんじゃないの」
康二の気持ちも分かっててこんなことを言ったのは、きっと悪あがきなのかもしれない。
でも、治癒能力者だと分かった途端今までの関係を続けると決めた同級生も、彼の叔父が康二を悪い言葉で諭したのも自分のもとに縛り付けようとしていたのも。
それに気づいたらきっと康二だって、
kj「＿＿＿ふはっ、きっとそうやろな」
ab「っ、」
kj「利用されとることくらい、とっくに知っとったよ。
知っとったけど、俺は利用され続ける道を選んだ。
能力者やってバレて1人になる方がもっと嫌やったから。」
一緒にいて気づいたのは、康二は寂しがり屋だということ。
基本誰かは居るリビングにずっといるのも、ずっと誰かの隣にいるのも、俺自身の目で見てきた。
kj「どうすれば能力者の俺は普通にノーマルの友達作れたん？
・・・どうすれば、対等な関係が持てて、嫌われずに済んだん？」
そんな康二が一番嫌いなのは、孤独だった。
kj「治癒能力さえあればみんな頼ってくれる。
ありがとう、って沢山言ってもらえる・・・！」
笑顔を貼り付けていたその顔は次第に崩れ、目からは涙が流れている。
手の甲で拭いながらもなお俯いて訴える姿を見ているのが辛くて、顔を背けると視野にあった少し先の足が動いた。
iw「＿＿頑張ったよ、康二は凄く頑張った」
kj「ひかるく…」
照が康二を抱きしめていた。
優しい声色で話す素振りは、俺たちの間ではあまり見せることのない姿。
iw「康二は康二なりに頑張ってたんだよな」
kj「＿＿っ、」
iw「でも、面白くて、写真を撮る技術があって、優しくて。
俺たちにとってはそれだけで十分だから。
もし能力が無くたって、俺らはずっと康二の隣にいる」
kj「そんなの、絶対同情や…っ、！」
iw「同情でもないよりはいいだろ。
そのほうが、素直に辛いって言えるんだから」
ぐっ、と唇を噛んだ康二の手が恐る恐ると照の背中に回る。
kj「っ、辛かった…！寂しかった…！！」
わんわんと泣く康二を胸に収めて背中をポンポンと叩いて慰める姿は、どこか兄弟のようにも見えた。
kj「能力なんかじゃなくて・・・っ、もっと俺そのものを必要として欲しかった・・・！！」
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作者名：紗絢
| 作成日時：2020年11月2日 17時
