少女に記憶 (ページ22)

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第111話ページ22

不気味な薄笑いを浮かべ、余裕の態度で敵である唯火達の前に現れたカイン

「そういえば、さっきお前らの部下を見かけたから、
　親切心を働かせて、夢の世界に案内してやった」
「…倒したのか」

カインの言った事に苦い顔をするミオラさん

「カイン、私達を同じように倒せるとは思わないでよ」

カインを睨みつける唯火
しかし、カインは嘲るように

「だが、その幻影に真っ先に倒されたのはお前だろうが」
「っ！あれは油断しただけで...」
「ほう、敵の目前で油断したと？」
「…」

カインの言葉に唯火は黙る
その表情には悔しさが見て取れた

「それより、そこの俺の実験体を返してもらおうか」

カインは視線を唯火から"私"に移動させる
"私"はじっとカインを見ると

「いーやーだー！
　おじさん、なんかきらいなかんじがするもん！」
「この短時間によくもまぁ感情豊かになったもんだ
　…ん？」

カインが会話中に何かに気づいたように、すっと目を細める
直後、笑みを作る

「まさか、人格を……興味深い」

カインの物言いに眉をひそめたミエラさんとミオンさんは、
しかしそれについて追及する事はしなかった
捕まえればいつでも聞ける、という理由からかもしれない

と、
ミエラさんの姿に変化が出た
唐突にその髪と瞳が夕焼けの空に似た、淡い橙色になったのだ

それは、私が初めて見るミエラさんの異色だった

ミエラさんはその手に自身の色と同色の魔法陣を展開させる

「彼を捕縛し、この件を早急に片付けましょう」
「本気だな。ならこっちも本気でいかねばな」

不敵な笑みをたたえて、ミオラさんもどこから出したのか、銃器を手にする

「2対1とは、、、それも名高い双子に。恐悦至極だ」
「ふざけないで。私も参戦するわ」

唯火が再び戦意を灯した目でカインを睨む

「ほう、戦意を喪失したと思っていたのだがな
　…これで3対1か
　少々...どころでなく理不尽な程こちらが不利
　ハンデをもらうとしよう」

にやりと笑ったカイン

訝しむ3人にカインは言う

「俺が観測者の研究以外に何をしていたか、
　ここで何を創っていたか、知っているか？」
「「…まさか！」」

ミエラさんとミオラさんが声をそろえる

と同時に

カインの背後からのそりと何かが姿を現した