episode_thirty-seven ページ37
_____何故、私を助けたんですか
「……よく、分かりません。何か、俺らしくないっすけど、何となく……助けてみたかっただけです。」
頬をかきながらそう言う。
クィレルはAを見つめた後、乾いた笑い声を漏らした。
「……死ぬのは怖かった。それと同時に死を求めている自分もいました。私は……誰かに助けを求めていました。そして、それに貴方は応えてくれた。」
Aは話し出すクィレルの話に耳を傾ける。
クィレルは言葉を紡いだ。
「本当にありがとうございました。」
クィレルはAの目を見て、深々と頭を下げた。
「自分の決めた事をやったまでです。貴方が頭を下げることじゃない。」
「ですが、お礼を言わせてください。貴方が助け出してくれなければ、きっと私はもう死んでいたでしょう」
居心地悪くAは椅子に座り直す。
しかし彼はAを見続けていた
「……もう私はここに居られません。」
声が暗くなる。
クィレルは俯いた
「いや、そうとも限りませんよ。」
「……え?」
素っ頓狂な声を出すクィレルに少し唇が引き攣るが、Aは話し出す
「校長は貴方をここから出て行かせる気は微塵も無いそうです。」
「どうして___!!あの人は何を考えているんですか!私はここに居る理由も資格も失ってしまった。」
「少なくとも、です。貴方が出て行くことを希望するならばきっと彼はそれを止めはしません。」
「でも、貴方が少しでもここに居たいと思うならば、彼はそれを喜んで歓迎しますよ」
「しかし私は……もう、教師をやる資格など……」
「教師以外にも仕事はあります。いつでも人手不足なので。ご所望ならフィルチさんのサポートだって……」
Aは少しニヤリとする。
クィレルは動揺し、あからさまにそれは嫌だ、と言っていた。
「冗談です。後は校長自身と話してください。俺は貴方が起きた事を伝えてきます。」
椅子から立ち上がった。
薬草を机の上に置き、扉を出ようとすると止められる。
「もう何度も聞いたでしょうけど、貴方は私を救ってくれた。」
「この助けられた命、私はホグワーツの為に使いたい。……私は、ここに残りたいです」
「よく言ってくれたの。クィレル先生」
扉の向こうには優しい声の彼が、いたずらっぽく笑いながら立っていた。
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ベルモット - 初コメ?です。生徒目線が多いので教師目線の話が新鮮でした。大人の事情が含まれる出来事も勘付く年頃になって痛感することがあります。 (5月16日 14時) (レス) id: f174f30836 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - フォールさん» ありがとうございます……✨✨そう言って貰えて嬉しいです!!(;´༎ຶٹ༎ຶ`)秘密の部屋編でもグダグダするとは思いますがこの作品をよろしくお願いします😊😊 (2023年1月24日 23時) (レス) id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)
フォール(プロフ) - 賢者の石編完結おめでとうございます!!感動的なストーリーやキャラたちとの絡みなどとても楽しく読めました!秘密の部屋編でも頑張ってください!!応援してます!!! (2023年1月23日 17時) (レス) @page41 id: eb505c02be (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 塾から帰ってきて、覗いてみたら更新されていてめちゃくちゃ元気になりました(*≧∀≦*) (2023年1月14日 23時) (レス) @page36 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます(ᵒ̴̶̷ ᵒ̴̶̷ )✧‧˚応援してもらったのでめちゃくちゃ頑張りたいと思います(ง ˙-˙ )งこれからもこの小説をよろしくお願いします! (2023年1月14日 10時) (レス) id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とある緑の生徒。 x他1人 | 作成日時:2022年10月31日 18時