【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ47)

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「いつも一人で寂しくないか？」

「へ？」

夕食を終えて、二人で皿洗いをしていた時。私が食器を洗い、それらをコネシマさんが水ですすぎ、水切りラックに置いていく。誰がルールを決めたわけでもなく、自然とこの配置に、そして夕食後の共同作業として成り立った。その最中、いきなり先の言葉を口にしたコネシマさん。手を止めて彼を見上げた私を、コネシマさんも見つめる。

いきなりどうしたんだろう。心の中でそう呟きつつも、「正直いうと、もちろん寂しいです」と返事をした。

「もうちょい頻繁に来れたらええんやけど」

「無理はダメです。

寂しいですけど、でも、貴方は必ず来てくれる。」

私を置いて消えて行った私の家族とは違って。

「なので、心配はしてません。」

「そっか。」

にこりと笑った私を見て、真剣だった表情を少し緩めたコネシマさんは、

「でも、無理はせんといてな。」

と説くように口にした。

「分かってますよ。」

恋人でも、ましてや夫婦でもない私たちの関係。

でも、互いに互いを好きで、そして愛し合っている。それだけは、はっきりしている。キスも、その先への進展もないが、今はそれでいい。焦らずに。ゆっくりと。

傷の舐め合いだとしても、お互いを好きでいるのは変わらないから。

「コネシマさん。ありがとうございます。」

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ゆっくりとベッドから上体を起こした私は、大きな欠伸を一つ。寝惚け眼をこすり、次は溜息を一つこぼした。締め切られたカーテンからは朝の陽光が漏れており、もう朝なのかと憂鬱な気分を溜息としてこぼした。

カーテンはそのままに、とぼとぼと洗面所へと向かった。

コネシマさんと話してから、１週間が過ぎた。すっかり彼の残り香は消えた。彼がここにいた証が、消えた。何故か今はそれを認めたくなくて、彼がいつも座る椅子に腰掛け、机に突っ伏していると、呼び鈴の音が鳴った。

こんな時間に誰だろう。大きな声で「はーい。」と返事をして玄関先に向かった。ガチャリとドアを開けると、そこには見知った姿が現れた。

「いらっしゃい、ショッピくん」

「誰なのか碌に確認もせず扉を開けるなんて、警戒心なさ過ぎです。それと、お久しぶりです。」

　 ......お叱り付きだったが。