【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ32)

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ガラス越しの再会【ut】ページ32

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ゾムが、任務帰りにある一人の女の子を連れ帰ってきた。自分の名前以外何も知らない少女.....というよりは女性、かな。見た目判断では成人しているらしい。人身売買で売り飛ばされそうになっている所に遭遇。彼女がひどく抵抗をしていたので何となく助けてきたとのこと。

俺はこれから姿を初めて見るのだが、一体どんな人なのか。ワクワクしながらトントンの後ろを歩く。

トントンが向かったのは、地下だった。

ut「なんで地下なん？
下って、牢獄か武器庫しかなくない？」

tn「あの人には悪いけど、まだ身元もわかってないし野放しには出来ひんやろ。

俺たちに害が全くないって分かったら解放してあげるつもりや」

ut「ふーん」

自分から聞いといてあまり興味がないのか口を尖らせて適当な返事をした鬱は暇そうにポケットに入ったタバコの箱を弄る。

tn「ここ。」

トントンの声で面を上げる。

目に飛び込んできたのは、頭で想像していたいつもの牢獄ではなかった。

ut「あれ、何でここガラス張り？」

鬱の知っている牢獄とは、太い鉄の柱が中と外を隔てているものだ。しかし、彼らの前にあるのは床は真っ白なタイル、そして隔てるのは鉄の柱ではなく厚いガラスだった。

tn「一応女性やしな。あんな居心地の悪い場所よりかはマシやろってさ」

ut「その為にわざわざ作ったってこと？」

tn「そう。グルさんも何考えてんのか。」

肩をくすめ、そうぼやいたトントンは「ちょっとあっちに用あるからそこおってて」と言って奥へと消えていった。

彼を見送り、鬱はもう一度違和感アリアリのガラス張りの方へ顔を向ける。

中には目的の人物が俯き座っていた。服はこの城の誰かから借りたものだろうか、綺麗で真っ白なワンピースを着ていた。

ふと、中の人物がこちらへ振り向く。

目が合った鬱は静かに息をのむ。