【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ29)

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予定変更ページ29

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書類を抱え、長い廊下を走るA。
養成時代は上官によく怒られていたっけ。しかしこのバカ長い廊下はもう走れと言われてるようなものだ。こんなの歩いて間に合うわけがない。

ちらっと腕時計で時間を確認すると、既に予定時刻を数分過ぎていた。これから大事な会議がある。幹部であり外交長官を務めるオスマン、幹部の中でもより高い地位にいる書記長のトントン、そしてこの国のトップである総統グルッペンとの会議が控えていた。その中でも書記長トントンの秘書であるAは、開始前に席につき会議の準備をしておかなければならない。

しかし、ちょうど数分前、同じく幹部であるコネシマとシャオロンの仲裁に入っていたお陰で無事この有様だ。途中、同じく幹部のショッピに声をかけられ遅刻寸前だと言うことに気がつく。

今は非戦闘要員であるが昔そう短くない期間兵士養成施設で鍛錬していた。体力と速さには自信があるAは時間が惜しいのでエレベーターを使うことなく階段で上がっていった。

目的の扉を見つけ、３回ノックし「失礼します」と声を掛けて中に入った。

勢いよく頭を下げ、「遅れてしまい申し訳ありませんっ！」と遅刻の謝罪をする。そんなAの耳に実に暢気な声が入ってきた。

os「あ、お疲れ～。Aちゃんはお菓子食べる？」

『お疲れ様で......え。』

Aが会議室に入る前まで想像していた室内の様子と、今目の当たりにしている状況が全く異なっていた。

楽しくお茶セットの準備をするオスマンと、机に完全に脱力し突っ伏しているグルッペン、トントンの姿からはこれから会議をする雰囲気など微塵も感じない。

『あの.....これは一体どういう状況ですか』

os「二人はここ数日の激務で撃沈めう～」

『はあ！？』

Aは、頭の中でここ数週間のスケジュールを組み立て直した。書記長補佐なのでトントンの仕事のスケジュールを立てているのはAだ。しかしどれだけ見直してもここまで瀕死になるような過酷さではない。いつも通り、むしろいつもより余裕がある。