【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ27)

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取り敢えず、家は最新技術のおかげでスマホからの指令を受けて暖房が部屋を暖めてくれているだろう。猫ちゃんがいるからこたつは付けっぱなしだし、今日は鍋をしようとしてたから食材もちゃんとある。

あ、彼の寝間着はどうしよう。

独身女の一人暮らしの家には当たり前に男物の服などあるわけが無い。

彼を家に一人にして服を買いに行くのも手だが、その間に抜け出されたら元も子もない。

うーんうーんと頭を悩ませるAは、ある一つの答えに至った。

『もしもし』

「どしたの」

『今、家？』

「うん。あ、うち来る？」

『行くわけねーよバカ。

そうじゃなくって、ちょっと私の家に鬱くんの服持ってきて欲しいんだ。寝る時に着るやつ。』

「えっ！？男！？」

『いや、まあ、間違ってはないんだけど今説明するのも面倒くさいし、取り敢えず持ってきてくれる？』

「ひどい！僕という男がそばにいながらっ」

『あーうんそうだね、よろしく』

長い付き合いのある友人、鬱に連絡を取って彼の服を持ってきてもらうことにした。彼の返事を聞かずに電話を切る。なんだかんだ言ってちゃんと持ってきてくれるだろう。彼は優しいやつだ。心配ない。