【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ16)

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「ちょちょ、ごめんごめん驚かせたな」

『あ、わ、手.....トントンく...の、手！！！！』

「ああ、ごめん！」

と、とても楽しそうに笑いながらパッと手を離した。

しばらくの沈黙が続くが、それ幸いとAは心を落ち着かせ、トントンに気になることを投げかけた。

『トントンくん、何用ですか』

「一緒に飯食わん？」

『なっ....！』

トントンの一言でAの頬が朱色にボッと染まった。そのあからさまな態度にトントンの頬もつられて朱色に染め上がる。

「ちょ、こっちが照れるわ.....！！」

『ごめん....なさい。あの、本当、私で良いんですか？』

本人から直接言われたは良いが、あまりに嬉しすぎる誘いでむしろ夢なんじゃないかと信じきれないAは恐る恐るトントンに確認をするが、

「おう。Aと一緒に食べたいなって」

という爽やかスマイル全開で言われ、

「もしかして、嫌やったりします？」

と不安そうな表情に変わって問われると

『あの、もうむしろこちらからお願いします！』と勢いよく頭を下げた。

後日、このことを隣のクラスの委員長を務めるグルッペンに報告すると

「童貞のくせに頑張ったんやなあ」と感心したように呟いていた。