【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ15)

今日:18 hit、昨日:2 hit、合計:42,152 hit

心臓がいくつあっても足りません【tn】ページ15

.

私のクラスの委員長は学校内でも一番モテるイケメン男子だ。

彼の名はトントン。

モテるし勉強できるしリーダーシップあるって、天に恵まれすぎじゃありませんか。

しかしそんな彼だが、今まで何度も告白をバッサリと断っているらしい。

そのあまりにもな態度にもしかして男の方が好きなんじゃ....？なんて噂も立っているくらいだ

ちなみに私はトントン君のことが大好きである。

学校内に設備された自販機の前で、私はこれからのお昼休みを共に過ごす飲み物を選んでいた。

『どれにしよう....』

ライトに照らされ光る缶やペットボトル達。

どれも好物であるが故にどれか一つに決めるのには少々時間が必要だ。

顎に手を当てて唸っていると、

ﾋﾟｯｶﾞﾗｺﾞﾛﾝｯ

突如現れた指によってサイダーが選ばれ、なす術もなく下の受け取り口へと落とされた。

誰だこんなことをした奴は！

驚きよりも腹立たさが勝ち、勢いよく振り返って指の主を見たAの表情は次第に怒りが消え失せ次は驚きで目が見開いていた。

「悩んでたっぽかったから、俺が選ばせてもらったで。」

悪い笑みを浮かべ、そう言ったのは、

『ト、トントンくっ.....！？』

「それ、俺の好きなやつなんですわ。一口貰えへん？」

まさかの意中の相手、ましてや学校一モテている彼が自分に話しかけているとは信じられず
未だ驚きを隠せていないAは、

『ひっ、ご、ごめんなさい！』

そう言って、走って逃げようとしたのだが、それも叶わず。

トントンは彼女の腕を慌てて掴んだ。