【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ14)

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酔っ払い【sha】ページ14

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「たっだいま～！！！！」

『おかえりシャオちゃん！
.....ってかめっちゃお酒飲んできたのね...。』

はぁ....。とクソでか溜息を漏らすのはこの家をシャオロンと住んでいる同居人であり、恋人のAだった。

今のシャオロンは声色から普段とは全く違うのだが、何よりも酒臭い。とにかく酒臭い。

「うへへへ～。
今日さ、トントンが脱いだんやでひっく」

『あーはいはい。トントンさんね。
取り敢えず早く入って。普通に近所迷惑だよ』

会ったことはないが、よくシャオロンの口から聞く名前。トントンとは一体どんな人物なのだろう。

飲みの席で服を脱ぐような人には思えないのだが.....。

普段聞く彼の人物像からは想像できないような奇行に頭を悩ませていると、突如シャオロンの身体が覆いかぶさってきた。

『うわっ.....ちょっ！！！』

鈍い音を立てて二人は床へと倒れ込んでしまった。酔っていてもシャオロンはしっかりとAを抱きしめており、Aは床との激突を免れていた。

『あーもー....今日は一段と酔ってるね....。』

またデカい溜息を漏らしながら前髪をくしゃりと握り込む。微かに眉間にもシワが寄っており、彼の扱いに困っている様がはっきりと分かる。

「良い匂いする」

『んー？どうしたの』

「えへへ。
A良い匂いする～！」

無邪気に笑いながらAの首元に顔をうずめてそう言ったシャオロン。一段と抱きしめる力が強まり、Aは慌てたように

『ちょちょちょ、苦しい！！』

と言って暴れ出した。

そんなAを気に留めることもなく、続けてこう言う。

「シャンプーの匂い？」

『だと思うよ。

香水なんかつけてないし....。』

「俺、この匂い好き」

『あ、ありがとう.....。』

クンクンと首元を重点的に嗅がれてる気がしなくもないが、仕方がない。酔っ払いの気が済むまで好きなようにさせてやろう。

と、諦めたように目を閉じたAだった。