【d!】ハッピーエンドだけが全てじゃない【短編集】 (ページ11)

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でも、そんな貴女の目はいつもコネシマさんを追っていた。恥ずかしそうに見つめるその表情は、俺にとってはとても辛いものだったけど、貴女が幸せならそれで良かった。

けど、彼が貴女をそんな表情にするとは思ってなかった。

「諦めるん.....ですか？」

『え.....？』

「彼女さんがいるから、コネシマさんを好きでいるのを諦めるんですか？」

俺は、貴女がコネシマさんを好きでいてもずっと諦めず貴女を想い続ける。願うのは貴女と一生を共に過ごすことだが。

でも、そう簡単にコネシマさんを諦めて欲しくなかった。

『諦めるも何も、結婚を視野に入れてるなんて言われちゃったら....私が入る隙もないよ。』

Aさんはそう言ってえへへ、と緩く笑った。

その笑顔はとても痛々しいものだった。

ずっと、Aさんがコネシマさんを好きでいる度に自分の心をなるべく抉らないように、無理矢理自分を納得させてなんとか逃げてきた。

本当はAさんが欲しくて欲しくて堪らないのに、そんな想いにグッと無理矢理蓋を閉めて。

これをチャンスだと思ってしまう自分は、醜い野郎かも知れないけど

「Aさん、気持ちが落ち着いたら、俺と食事にでも行きませんか」

貴女が好きで好きで堪らない。

だからもう、これ以上貴女があいつで苦しむところは見たくない。

コネシマさんのことを諦めるのなら、俺が頑張ってもいいですよね？

俺はAさん、貴女に振り向いて欲しいんや。