My sweet home (ページ7)

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Vol.6 出会いページ7

「渉……！？」

急いで涙を拭って
音のする方へ振り返ったけど
暗い外はよく見えない

「渉……来てくれたの？」

泣き顔を歪ませてドアに近づいてあと少しのところで足を止めた

違う……。

渉と背丈がそんなに変わらなく
細身だけど渉ほど華奢じゃない。
程よく筋肉のついた体。
つばの大きい帽子が小さい顔に合うモデルのような男の子がたっていた。

「え……」

慌てて後ろを向いてまたこぼれ落ちそうな涙を拭っていると、

『コンコン』

またドアを優しくノックする音。
とっさに笑顔を作って向き直して自動ドアのボタンを押すとドアがスーっと開いた

今度は目の前ではっきり顔が見える。
180㎝近い身長に小顔で帽子がすごく大きく見え、目はくりんと丸く鼻がスッと高くて唇はぷっくりしてる

太く巻かれたマフラーが更に小顔を強調してロングコートにブーツ、両手はポケットの中にすっぽり入ってる

雑誌の中から飛び出してきたようなあまりに美しい男の子を思わずしばらく見つめていると

「あの……」

喋った！！夢じゃないんだ、現実なんだ……と
我に返った。

「どうしました？何か？」

きれいな瞳に吸い込まれそうになりながらなるべく落ち着いた声で聞いてみた。

「あの……もうお店閉まってますよね？」

「はい……すみません。今日はもう……」

「お願いしますっ！前髪……前髪切ってもらえませんか？」

「へっ？前髪……？」

「はいっ！どうしても気になるんですっ！
お願いしますっ！」

きれいな顔立ちなのに眉毛をハの字に下げて
"お願いっ！！"って顔の前で手を合わせている姿があまりにも必死で可愛くて思わず吹き出してしまった。

「ぷっ……いいですょ。特別です」

顔の前で手を合わせてぎゅっと目をつぶっていた顔が少し緩んで片目をそーっと開けて

「いいんですかっ？ありがとうございますっ！」

って急に私の手をとってブンブン振った。
あまりの突然の出来事に目をぱちくりしてフリーズしていると
「じゃ、よろしくで～す」とキョロキョロ店の中を見渡しながら入ってきた。