Vol.2 ページ3
私は付き合って2年の彼がいる
今日だって仕事で遠くにいた彼と一ヶ月ぶりに
会えるというのに
”期待しちゃダメ”
って心にブレーキかけてる
彼は売れっ子のカメラマン。
この業界では名が知れていて彼と仕事する人は誰もがその才能に魅力を感じて憧れていた
そんな彼と出会ったのは2年前
私は美容部員だった母の影響で美容学校へ進学した。いつも綺麗な母に憧れて洋服やメイクが大好きになり勉強を一生懸命し、まずは美容師の資格をとって運良く都内の有名なヘアサロンでアシスタントから仕事を始めた
3年程働いて髪を切らせてもらえるようになりありがたいことに指名も入るようになって念願の自分のヘアサロンが持てるようになった
小さいけれど表参道でプライベートルームもあるのでモデルさんやテレビで観る方たちもお忍びで利用してくれていてお陰様で忙しくしている
スタッフも増えてオープニングから働いてくれてる後輩(前のお店から)の凛ちゃんに
お店を任せて私は髪型やお洋服のコーディネートを提案するスタイリストのようなお仕事も依頼を受けるようになり撮影の現場にもお邪魔するようになった
その頃………
その日も長年サロンに通ってくれてるモデルの美月ちゃんに”どうしても！”と頼まれてヘアスタイリストとしてスタジオに同行していた
洋楽が流れるスタジオにシャッター音が鳴り響いて美月ちゃんは次から次へと服や髪型を変えてはポーズをとってキラキラ輝いてる
「うーん……何かイメージ違うんだよな〜。
ここはもっと大人っぽくキメたいんだよな
ー」
カメラマンさんの一言を受けてスタイリストさんは
「はい…でもこの服はシンプルが1番なんでゴチャゴチャ小物足したくないんです…」
2人とも行き詰まっている様子であれこれ話し合っている
「あの……。今おろしている髪の毛、ゆるく巻いて横に流してみてはいかがですか？」
さっきまで言われるがままに美月ちゃんのスタイリングしていた私が急に口を挟んだから少しビックリしたようにこっちを見てるカメラマンさん。
アゴのところに長い指を添えて少し考え込んでから
「君は…えっと……？」
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作者名：silkball | 作成日時：2017年6月22日 15時
