Vol.11 ページ12
誕生日だったあの日は
夢だったのだろうか……
そんな風に思ってしまうくらいあれから
何もなく平穏な日々が続いて
あの日は
あの後裕太くんが家まで送るって
言い張ってたけどそれは丁重にお断りして
途中でタクシーを降り、連絡先だけ交換して別れた
渉くんからは相変わらずLINEのやり取りだけで結局あれから会えてないし……
今日も仕事を終えて帰ろうと電気を消しかけた時
" コンコン "
ドアを叩く音がして振り返った
「裕太くん？！」
慌てて自動ドアを開けるとだいぶ酔っぱらっているのか目がトロンとしてる
「裕太くん 酔ってるの？大丈夫？
今お水持ってく…………きゃ！？」
「Aちゃ〜ん。遅くなっちゃったけど
この間のお金返しに来たよ〜！！」
お水を持ってこようとして向きを変えたら
その手をグイッと引っ張られて抱きついてきたかと思ったらそのままなだれ込んできて一緒に
倒れてしまった
裕太くんの顔が耳のすぐ横にあってお酒の匂いと酔って熱くなった体温を感じると不覚にも
ドキッとしてしまった//////
「ちょっ……ちょっと裕太くん？！重い！！
起きて？」
「んー酔っぱらっちゃったよ〜！！起きられな
い〜……ふふ」
酔っぱらって全体重を預けてくるから重くてしょうがないんだけど！
「ちょっと！何がおかしいの！早く起きて！
お水持ってくるから！」
「は〜い！ふふ」
フラフラしながら起き上がった裕太くんをやっとのことで椅子に座らせると何だか楽しそうに鼻歌歌ってる
「も〜どれだけ呑んだの？そのまま帰って休めば良かったのに……」
ペットボトルの水をグラスに移して運んでいったら椅子にもたれ掛かって寝息をたててる裕太くん
「嘘っ！？裕太くん！！起きて！
タクシー拾うから！」
お水を飲ませてやっと立ち上がった裕太くんを抱えてタクシーに押し込んだものの
行き先を聞いてもまったく起きる気配がなくて仕方なく自分の住所を運転手さんに告げて
車は走り出した
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作者名：silkball | 作成日時：2017年6月22日 15時
