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ディフェンスに阻まれても上手く躱して突き進む 残り5秒
誰もが勝負は決まったと思っていたこの試合は残り3秒
ディフェンスが手を伸ばしてゴール下で阻むものの
それを軽々と超えていくように三井寿は高く跳んだ
｢入る｣
そのシュートフォームとボールの軌道を見た時
これは入ると確信して思わず拳を握りしめた
この時はまだ確実に入ってはいなかったが同じ選手としての勘というものだ
彼が放ったボールは誰よりも美しい弧を描き
ブザーと共にゴールへと吸い込まれていった
まさかの逆転劇を前に大きな歓声を送る観客席
やはり勝負の世界に絶対なんてものはないのだと改めて思い知らされた
｢やったー！！｣
｢勝ったぞ！勝ったんだ！！｣
まさに彼はスーパースターだった
この場にいる誰よりも強く輝いている
諦めない不屈の精神と積み重ねられた努力がこの結果を生んだのだろう
｢武石中の……三井寿……｣
鳥肌が止まらなかった
こんなに輝いている選手を、お手本のような選手を
今まで見たことがあっただろうか
開いた口が塞がらないとはよく言うが
本当にこうなってしまうとは
｢(すごい、すごいすごい、本当にすごい)｣
｢(私もああなりたいいつかきっとあの人みたいに)｣
1度も話したこともない相手の勝利なのに
自分の事のように嬉しくて胸が高鳴った、ワクワクした
今まで明確に目指すべき人なんていなかったけど
今日、この試合を見て私は彼に全てを奪われた
彼はおそらくオールラウンダーだろう
どこのポジションだってできる器用な人間
それだけじゃなく、周りを引っ張れる力だって持ってる
私も彼のようになりたいといつの間にか思っていた
階段を駆け下りる足どりがどこか嬉しそうだと自分でも感じる
｢あ！！いた！！！！！｣
｢………遅い｣
｢ねぇ聞いてよ！今の試合本当に凄かったんだから！！｣
｢さっさと帰るぞ｣
｢無視しないでよ！｣
階段を駆け下りた先にはチームメイトが待っていた
ぶっきらぼうに言葉を投げては
流れるようにジャージのポケットに手を突っ込んで
長い足でスタスタと歩いて行ってしまう
歩幅の違いというものを少しは考えて欲しいものだ
｢ねぇねぇ聞いて｣
｢聞いてる｣
｢私、決めた！｣
この日の試合の終わりのブザーが
私のこれからの始まりのブザーだった
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ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました！これから最新話まで一気に読破します！素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (
レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい！更新楽しみにしてます＾＾ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちめる
| 作成日時：2023年1月29日 20時
