◆Brother ページ40
◆side:Doctor(surface)
「なぁんだ、勘違いだったんだ」
みんなの話を聞いて、ようやく納得した。
お兄ちゃんは、ここに住んでいる。
前にいた牢獄のような施設から、この人達がお兄ちゃんを助けてくれていた。
つまり、お兄ちゃんの仲間なんだ。
「ごめんなさい。それから、ありがとう」
ペコリと頭を下げる。
そして顔を上げると、困惑した表情のみんなと目が合った。
「・・・・・・なに?」
「いや、ほんとに二重人格なんだなーって・・・」
みんなの思いを代弁してくれたのか、バレットが気まずそうに言う。
「・・・二重人格?」
その単語に、きょとんとする。
たしかに、ボクは時々記憶がトんだりするけど。
それは、ボク自身で薬 物投与の実験を行ってる弊害だと思ってた。
・・・ひょっとして、ずっと、もうひとりのボクがいたのかな?
「二重人格。解離性障害。極度のストレスやトラウマ的出来事で別の人格が生じる疾患、だよね」
お兄ちゃんが、ボクの頭を撫でながら言う。
だけどその表情は、少しだけ暗い。
「・・・ボクのこと、キライになったの?」
もうひとりのボクがいることを、気味悪いと思ってるのかな?
それとも、もうひとりのボクの方が好きなの?
「あぁ、違う違う」
ボクの不安を、敏感に感じ取ってくれたのかもしれない。
急に、お兄ちゃんが笑顔になった。
「表のゆーりくんも、裏のゆーりくんも、どっちもゆーりくんでしょ?」
優しい笑顔。
優しい声。
「おれは、どっちのゆーりくんも好きだから。だから、安心してね」
やっぱり、お兄ちゃんはお兄ちゃんだ。
ボクの、大好きなお兄ちゃんだ。
「・・・ありがとう、お兄ちゃん」
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