【HSJ】殺せんせーションズ -外せないLock- ５ (ページ38)

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◆Brother ページ38

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突然現れた、ドクターと名乗る男の子。
その子の顔を見ていると、妙な感覚が脳裏を埋め尽くしていく。

ずっと考えていた。

「会いたかったよ、お兄ちゃん」

だけど、その言葉を聞いた瞬間。
カチリと、全ての歯車が噛み合った。

忘れていた。
いや、たぶん忘れさせられていた。

施設に連れてこられた日。
おれはかつて父親だった人に、錠剤を渡された。

ある人に頼んで作ってもらった薬。
思い出そうとしなければ、過去の記憶を全て消去してくれる薬。

おれはそれを、素直に飲んだ。
自分を捨てると言った父親の事を、一刻も早く忘れたくて。

でも、忘れちゃいけない人も、いたんだよね。

「・・・ゆーり、くん？」

忘れていた名前を、おそるおそる口に出す。
それを聞いた彼は、途端に顔を綻ばせて。

「ボクのこと、思い出してくれたんだね」

そう呟いて、おれに抱きついた。

華奢な身体。
小さい身体。

壊さないように、優しく抱きしめる。

過去の記憶が、走馬灯のように流れていく。
笑ったり、泣いたり、怒ったり、笑ったり。

楽しかった。
どうして、忘れてたんだろう。

「・・・うん、思い出した。思い出したよ」

久しぶりだね、ゆーりくん。