【HSJ】殺せんせーションズ -外せないLock- ５ (ページ29)

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◆Brother ページ29

◆side:Doctor(inside)

(薬よし、縫合糸よし、メスよし。あとは・・・)

ひとつずつ、バッグに入れながら持ち物を確認していく。

もう、ここには戻ってこない。
かといって、置いていって困るものは少ない。

今ある物だって、爺さんが僕に買い与えたもの。
だけど僕は爺さんに感謝の気持ちなんて微塵も無いし、何ならありがた迷惑くらいにしか思ってなかった。

(・・・よしっ。これくらいでいいかな)

ウエストポーチに必要最低限。
それが、僕が外に出る上で大切にしてる事。

武器を大っぴらにひけらかすのは、自分が弱いと言っているようなもの。
それに、正義の権化である警察官の目に留まりでもしたら大変だもんね。

「お世話になりました、っと」

一応、形式的に頭を下げる。
そのまま、ふらーっと外に出た。

(よくよく考えれば、久しぶりの外だなぁ・・・)

静かな廊下を、気配を消しながら闊歩する。

僕にとっては、部屋が一番安心できる場所。
それ以外の場所なんて、常に死と隣り合わせ。

・・・まぁここの部屋だって、安心できるとは言い難いけど。

(“表のボク”だったら、絶対リラックスできるんだろうなぁ・・・)

そんな事を考えていたら、いつの間にかマンションの外。

もう戻れない。
後悔はしてない。
何故か不安になる。
どうすればいいのか。

(あ・・・・・・、)

人格が、変わる。