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その翌日の夕方のことだ。
私が興信所に依頼の成果を聞きに出向いたのは。
ここで何軒目だったかなと思いながら目の前に座る探偵と向かい合って話をする。
要約すると「手掛かりなし」ということだった。
「ありがとうございました」
何もありがたくないけど一応そう言って建物を出る。
陽はすでに傾いていて夜が近い。
社長は今日商談だって言ってたな。
ぼんやりとそう思うけど、その成功を願う気力が湧いてこない。
妙に身体が重たくて、同じだけ心も重たい気がする。
「……はあ」
何度ため息を吐いても全て夜の空へ吸い込まれていくだけだった。
地面に落ちて積み重ならないだけまだましだと思った方がいのかもしれない。
夜を歩く。
一人で歩く。
独りの家に向かって。
四年だ。
もう、四年。
どこに行ったんだろう。
何でいなくなったんだろう。
会いたい。
会いたくない。
忘れたくない。
忘れたい。
はやく、私の中から消えて欲しい。
いつまでも囚われたままだ。
当然と言えば当然で、私の世界はずっとあの人と共にあったのだから。
はじめて優しくしてくれた人。
はじめて傍にいてくれた人。
はじめて一緒にいたいと思った人。
はじめて抱きしめて欲しいと思った人。
一緒に生きていこうと思っていた人。
見つからないのなんて今に始まったことじゃないのに。
今夜ばかりこんなことを考えるのは、月が明るくて綺麗なせいだ。
誰にだって、どうしようもなくやるせなくなったり素直に笑えない日がきっとある。
「やめた」
考えるだけ無駄なんだから止めよう。
こういう日はお酒を飲んで寝てしまうに限る。
そう考えたら、なぜか代わりにまた社長の顔が頭に浮かんできた。
なんでだろう、無性に誰かの声を聞きたい気分だ。
あの人が出て行ったあの日から私は世界に独りぼっちなんじゃないかと錯覚する日がある。
誰にでもあるものなのだろうか。
他人の心を知るすべはないからわからないけれど。
スマホを見つめる。
でも、連絡をする勇気は出なかった。
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やっち(プロフ) - 続き待ってます❗ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page18 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月20日 21時
