染明－secret romance－♭2《ars/s.s》 (ページ15)

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私はあの日々を思い出しながら言葉を探す。

「正直なところ、これが愛情なのか親愛なのかも区別付かなくて。私にとって恋人だったのか父親だったのか、それもわからないし。どちらも違う気もするし」

結局のところ、私はいまだにあの日々が何だったのか掴み切れていない。

私にとってあれは日常であり、今の私にとってはそういう過去でしかない。

「今でも、なんで探してるのかよくわかってないんです。忘れたいと思ってるのに、探すことが止められなくて。忘れたいから探してるのか、忘れたくないから探してるのか、それとも会いたいから探してるのか会いたくないから探してるのか。あの人の影を、追っていないと不安なのか。よくわかってません」

会ったら、私は何を言うのか。

見つかったら、私はどうするのか。

それすらイメージはできない。

「……でも、愛には違いないよ」

「そう、ですかね」

「たぶんね。……君がその男の傍にいたかったのは本当なんでしょ」

「……そうですね。いたかったんだと思います、私は。……ずっと一緒にいるもんだと思ってましたから」

当たり前のように。

そう言うものだと思っていた。

好きだとか嫌いだとか恋だとか愛だとかそういうことじゃなくて。

一緒にいるものだと思っていたのだ。

「はやく、忘れてしまいたいのも、本当ですけどね」

我ながら矛盾している。

呟いた言葉に社長はちらりと私を見ただけだった。

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