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「ありがと。ウイスキーで良いの？」
「はい。私も飲みたい気分なので」
「そっか」
自分のグラスにお酒を注いで口をつける。
普段は夜に仕事をしていることが多くてあまり飲まないけど、どうしても飲みたい夜が大人にはあるのだ。
「飲まなきゃやってられないよ」
社長は呟くとまたグラスを煽る。
あっという間に中身が社長の喉に吸い込まれていった。
白い喉が上下に動く。
「……実莉とのデートもなしだな。新しい仕事を取る必要が出てきたから、そっちに時間使わないと」
「あ……」
社長がグラスを揺らす、カランと氷の音がした。
そうか。
そんなに重要な商談だったんだ。
きっとこれからの櫻井カンパニーを安泰させられる、そういう仕事。
それがなくなったのならば新しい仕事を探さなければいけない。
そう言うものなのだろう。
なくなった分は補填が必要だ。
「社長……無理はしないでくださいね」
ありきたりなことしか言えない自分がもどかしい。
でも、私の言葉に社長は笑みを浮かべてくれた。
「ありがとう。でも平気だよ。これが俺の仕事だから」
社長のグラスが空になる。
私は真似をして自分のウイスキーを一気に飲み干した。
「お、いい飲みっぷり。……それで君は？なんか元気なさそうだったけど」
社長のグラスにウイスキーを注いでいた私は社長の顔を見た。
「気づいてたんですか？」
「声の感じで何となく」
「そうですか……」
気づかれていたんだなぁと思うと少し恥ずかしい気もするし。
社長の心配事を増やして申し訳ない気もする。
だから私は自分のグラスにウイスキーを注ぎ終わるとゆるりと首を振って見せた。
「大したことじゃないんです。ただ、興信所から依頼の失敗の報告を受けただけです」
なるべく何でもないふりで私は言った。
社長には詳しく話していないから伝わらないかなと思ったけど、それでいいつもりだった。
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やっち(プロフ) - 続き待ってます❗ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page18 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月20日 21時
