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「えー、可愛い子に可愛いって言って何が悪いのよ。ねぇ潤」
「そうだな」
「笑ってるじゃん松本くん」
私の文句に松本くんは「笑ってないよ」と言うけれどそう言ってる顔が笑ってるじゃない。
「っていうか亜由ちゃん、手が怪しい」
「だって大好きなんだもん」
「関係ない」
私は胸をわし掴もうとする亜由ちゃんの手を掴む。
「ちぇ、ガード固いねぇ」
「普通でしょ」
「でもそんな誘うような格好してるAが悪いよ？ねぇ潤」
「そうだな」
「だから笑ってるじゃん松本くん」
「はいはい、ほらアンタたち、さっさと準備しなさいよ」
見かねたのか仕事用の服に着替えて出てきた店長が手を叩いた。
私たちは素直に「はーい」と返事をして持ち場に戻っていく。
「あ、A、今日はこれね」
「わかりました」
私は店長から楽譜を受け取って店内のステージに置いてあるピアノに向かった。
一段高くなったそこにはグランドピアノが置かれている。
ピカピカに磨かれた、私の仕事道具。
楽譜を置いて蓋を開けて、ぽろんぽろんと音を鳴らす。
ピアノを弾くのは嫌いじゃない。
自由に私の想いを音に乗せることが出来るから。
「ちょっと弾きますね」
「どうぞー！」
亜由ちゃんの返事を合図に私は楽譜に書かれた曲を奏で始める。
開店までもう少しある。
一応頭に入れておかないといけない。
「A、今日もいい音ね」
「ありがとう店長」
そう言われるのは悪い気はしない。
でも、たぶん私の音は曇りない綺麗なものではないと思う。
これはこれでいいとみんなは言うけれど、全部あの人のせいだと思うとやっぱりもやもやする。
亜由ちゃんはそんな私に「新しい恋でもすれば」といつも言うんだけど、そもそもあれが恋だったのかどうかすら私にはわからないのだ。
だから、何をすればいいかよくわからない。
それでもピアノを弾いていたいと思う。
それは結局、あの人とのつながりが途切れてしまうのが嫌で縋っているだけなのかもしれないと、鍵盤を指で押し込みながら今日も私は考える。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» のり様、お久しぶりです！お待たせしてました、久々の今回は「キスしたいだけ」でございます。こちらこそ今回もありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。お楽しみいただければ良いのですが。今回もぜひ最後までよろしくお願いしますね！ (2021年9月8日 21時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - キタ。今回はキスをしたいだけのお話なんですね。しかも思いがけず長編連載。ありがとうございますm(__)m 既に続きが楽しみすぎです。あ、こんにちは。お疲れ様です。余談ですが私にも亜由ちゃん同様カワイ子ちゃん(3人)がいますw (2021年9月8日 16時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月4日 16時
