無糖コーヒーと微糖の恋【瀬名泉】 (ページ2)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:411 hit

無糖の恋 1 ページ2

｢ちょっと、どこ行くわけ？作曲なら付き合わないからねぇ｣

｢いいからっ！｣

声楽の授業が終わり、さっさと支度を終わらせた俺は、王さまに連れられ繁華街の奥の方までやって来た
こんなところに何があるんだろうか、
何かの店？いやいや、こんなところに店なんて、

｢あれ〜、たしかここらだったはず⋯｣

｢ちょっと、大した用事じゃないなら帰るよぉ？｣

｢待てって！⋯あ、あった！｣

踵を返そうとしていた俺は、ふっと振り返った

繁華街の路地裏、そこには、ぽつんとひとつの比較的綺麗な建物がたっている
看板をよく見ると、【Cafe Blue】と書かれていた

｢こんなところに、カフェ？｣

｢さっ、入るぞ〜！｣

｢ちょっ、ちょっと王さま!?｣

状況がよく飲み込めず、慌てて止まろうとするがお構い無し
王さまに腕を引っ張られ、建物の中へ

王さまが扉を開けると、カランカラン、と心地よい入店の鐘の音がした

そこは、店名通り、青を基調とした爽やかな感じの店だった
木造で、決して大きい訳では無いが、小さくもない、どこか隠れ家のような

｢ここは⋯｣

｢いい感じの店だろ、この前、繁華街をふらふらしてた時に見つけたんだ｣

どことなく、落ち着いた雰囲気が漂う
店内をきょろきょろと見回していると、カウンターの奥から1人、女の人が出てきた

『いらっしゃいませ、2名様でしょうか』

『お好きな席へどうぞ』

女の人は、そう言って俺たちに微笑みかけた
思わず、見とれてしまった
綺麗、だった