The Cave ページ45
ジェームズはヘルガ・ハッフルパフのカップを、ピーターはマールヴォロ・ゴーントの指輪を、そして、レギュラスはトム・リドルの日記を。僕はロウェナ・レイブンクローの髪飾りをもつ。ヴォルデモートと対峙するAとシリウスから離れ、岩陰に隠れる。そして、持っていたバジリスクの歯を取り出した。ぐ、と髪飾りに歯を突き刺す。その瞬間、何重にも重なった人間の悲鳴が響き、突き刺したところから黒い靄があふれ出す。それでも腕に力を込めて、牙を沈めていくと、一瞬で靄は晴れた。そして髪飾りは真っ二つに割れてしまった。
僕はその残骸を拾い上げ、紙に変えて手帳に収める。手帳にはすでにバラバラになったヘルガ・ハッフルパフのカップが収められている。さすがジェームズは仕事が早い。これで僕の仕事は終わりだ。ずっと僕を守ってくれていた不死鳥の騎士団の人にお礼を言って、死喰い人たちの乱戦へと飛びこんだ。
だんだんと死喰い人の人数は増えていくし、人狼や吸魂鬼も闇の陣営についているとなると埒が明かない。不気味な笑い声が耳に響き、パッと後ろを見るとそこには僕を吸血鬼にし、両親を殺した人狼、フェンリール・グレイバックがいた。今日は満月じゃない。彼も僕も今日はただの魔法使い。僕はしっかりと杖を構えて彼と対峙した。
こいつさえいなくなれば、人狼になる人は大幅に減るだろう。苦しい幼少期だった。満月の日になれば相手が誰であろうと襲ってしまう。そして、襲った記憶が残るのだから。学生時代だってつらかった。毎月毎月一人で寒い城に閉じこもり、叫びの館なんて呼ばれて。体は傷だらけで何度もマダム・ポンフリーにお世話になった。顔は傷だらけなので生徒たちは自然と僕を避ける。まあ、辛かったけれどそれよりも。人を襲ってしまうのだろうかという恐怖。館に向かう道中に気分は落ち、今日は人を襲ってしまうのではないか、誰かに気が付かれてしまうのではないかと怯え、翌朝血だらけの館を見回して人を襲っていないと安堵する。それが一番つらかった。
僕は幸運だ。たまたまジェームズとシリウス、ピーターと同じ部屋になった。たまたまピーターとAが勉強しているのを見かけた。たまたま、リリーが魔法薬学に詳しかった。だからこそ、未来の子供たちのために。人狼になってしまうかもしれない人々のために。
「エクソパルソ！」
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
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アネモネ(プロフ) - RIKOさん» コメントありがとうございます！大変恐縮です。趣味で書いている程度なのでつたない文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。是非お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年2月14日 10時) (
レス) id: 4798491269 (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - こんなにも作り込まれていて面白い作品には久方ぶりに出会いました。とても楽しく読めて、最近の私が充実しているようにも感じます。本当にありがとうございます！応援しています。 (2023年2月13日 21時) (レス) @page30 id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます！R18版ですが、マイページの設定でコンテンツフィルタがオフになっているのであれば、私には原因がわからないです、すみません…。ブラウザから見るなどしても見当たらなければ解決策を考えるのでまた教えてください！！ (2023年2月8日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 面白くて、思わず一話から一気読みしてしまいました!キャラ達格好可愛いし最高!所で、この小説のR18版が探しても見当たらないのですが、どうしてか分かりますかね…?フィルター等は無いんですけど…知ってたら教えて欲しいです！更新楽しみにしてます! (2023年2月8日 2時) (レス) @page13 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます！趣味で楽しく書かせてもらっています！こんな私の妄想にお付き合いいただいて嬉しいです。無理せずしっかり完結できるように頑張りますので、ぜひこれからもお時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年2月3日 11時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2023年2月2日 11時
