3 ページ3
彼女が僕らの記憶を消そうとしたとき、僕はたぶんあの場にいた誰よりも怒っていたと思う。当然、記憶を消されたレオよりも。なぜなら彼女に自分の理想を押し付けていたからだ。それを大きく裏切られて失望した。
レオから見せられた彼女の記憶では、彼女の視点で世界をめぐる。だから彼女の考えも感じることができるのだ。だから彼女に脆い部分があることはわかっていた。でも、実際に彼女の弱さを見たことは無かった。シリウスの幸せを一番に願い、気の強いリリーの親友であるAに幻想を抱いていたのかもしれない。リーマスは盲目的にAを好きだったし、ピーターもAは強いものだと認識していただろう。２人は怒りというより、絶望した顔をしていた。
そんな僕らとは裏腹に、シリウスとリリーはただ悲しそうだった。Aがまずシリウスを"血を裏切る者"だと貶したとき、シリウスは怒ったりせず、なんとなく予想していたかのように落ち着き払っていた。ただ悲しそうだった。リリーも、"穢れた血"だと彼女に貶された。でもやっぱりシリウスと同じように悲しむだけで怒らなかった。
２人は正しくAの弱さを理解していた。同時に強さも理解していた。それゆえの反応だった。そして、きっとAも潜在的に２人が一番厄介だと思っていたのだろう、だからまず２人に嫌われようと暴言を吐いた。でも、２人はAを大きく裏切り、けなされたことなんて意にも介さず彼女を包み込んだ。
きっと、レオも同じだったのだろう。彼もAの弱さを理解していた。だからAに怒ることをせず、僕に記憶を見せて助けることを選んだのだ。そして今日も、彼女を心配こそすれど、怒ることは無かったのだろう。
店員が紅茶を運んできてくれて、一口含む。７月のカラカラとした暑さで、アイスティがよりおいしく感じる。
「そう言えば君たち結婚式しないのかい？」
「するよ。でも今忙しいからね…今年は無理かも」
すぐにでも挙式を上げるつもりだった２人だが、そうも言ってられなくなったようだ。闇の陣営による被害が着々と増えてきている今、ついに昨日、吸血鬼の一人が殺されてしまった。ヴォルデモートが意図して吸血鬼を狙ったのかは定かではないが、最終的には吸血鬼であると分かったうえで殺害したようだ。それにより、吸血鬼は全面的に闇の陣営の考えに反対し、戦う姿勢が整った。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 152人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アネモネ(プロフ) - RIKOさん» コメントありがとうございます！大変恐縮です。趣味で書いている程度なのでつたない文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。是非お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年2月14日 10時) (
レス) id: 4798491269 (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - こんなにも作り込まれていて面白い作品には久方ぶりに出会いました。とても楽しく読めて、最近の私が充実しているようにも感じます。本当にありがとうございます！応援しています。 (2023年2月13日 21時) (レス) @page30 id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます！R18版ですが、マイページの設定でコンテンツフィルタがオフになっているのであれば、私には原因がわからないです、すみません…。ブラウザから見るなどしても見当たらなければ解決策を考えるのでまた教えてください！！ (2023年2月8日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 面白くて、思わず一話から一気読みしてしまいました!キャラ達格好可愛いし最高!所で、この小説のR18版が探しても見当たらないのですが、どうしてか分かりますかね…?フィルター等は無いんですけど…知ってたら教えて欲しいです！更新楽しみにしてます! (2023年2月8日 2時) (レス) @page13 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます！趣味で楽しく書かせてもらっています！こんな私の妄想にお付き合いいただいて嬉しいです。無理せずしっかり完結できるように頑張りますので、ぜひこれからもお時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年2月3日 11時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アネモネ | 作成日時：2023年2月2日 11時
