First Step ページ38
月曜日の放課後、いつも通りに音楽室へ行く。相変わらず落ち着くような繊細な音色を奏でるレギュラスに私は思わず笑顔がこぼれた。いつものように壁に背を向けて座り込んでその音色を聴く。どうやらいいことがあったみたいだ、いつもより生き生きとしている。一曲弾き終わると、レギュラスはいつものようにぴったりと肩を寄せて私の隣へ座る。
「いいことあった？」
「…わかります？」
レギュラスは話したくて仕方がないようで、少しそわそわとしていた。私は彼のほうに首を傾けて話を催促する。レギュラスは少し頬を染めて照れ笑いをした。彼の感情を揺さぶるのはいつだって彼の兄シリウスである。一体夏季休暇に何があったのだろう。
「兄と話し合ったんです。家族のこと。ずっと、兄は僕のことを嫌いだと思っていたんです。でも、ちゃんと僕のことも考えてくれていた」
喜びをかみしめるように、一言一言丁寧に話すレギュラスに、思わず口角が上がる。きっとお互いがお互いに遠慮しあっていたのだ。気持ちを言葉にすることで和解することができたのだろう。
「それで、家族でも話し合って、兄が家を継ぐことになりました」
「え！？」
その言葉は予想外で、私は大きく声を上げる。ブラック家が大嫌いであるはずのシリウスが、ブラック家を継ぐだなんていったいどういう風の吹き回しだろうか。
私の幸せ計画になにか影響を及ぼすかもしれない。私というイレギュラーが居ることで物語が変われば、助けられるものも助けられなくなってしまう。
しかし、考えようには一歩前進だった。私の幸せ計画には、レギュラスとシリウスの兄弟仲修復もあったからだ。
私の計画上、レギュラスが本来命を落とすところで助け、シリウスと合わせることによってそれを達成しようとしていたが、私の出番はなくなったようだ。
「…Aさんのおかげでもあります」
「何かしたっけ？」
「僕たち兄弟を引き合わせてくれた」
それはあまり私関係ないのでは、とレギュラスに言うが、本当にありがとうございます、と幸せそうな笑顔で言われてしまえば私は頷くしかなかった。
さて、とレギュラスは立ち上がる。私もそれに続いて立ち上がった。
「兄が覚悟を決めたんです。僕もできることをしなければ」
レギュラスのシルバーの瞳はキラキラと輝いていた。ほんの少し危うさを兼ね備えたその表情に、私は無理だけはしないで、と返すしかできなかった。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» ありがとうございます！長い作品ですが、お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年1月27日 13時) (
レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - キメラ想像したらめっちゃ笑いましたwwまだ読んでいる途中ですが続きが気になって黙々と読んでいます。更新お疲れ様です、応援してます！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» つなぎ目だらけで舌を出すキメラを生み出してしまいました…wご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - フランケン・アインシュタインはおもろすぎるｗアインシュタインとフランケンシュタインは別物ですよ〜 (2023年1月25日 10時) (レス) @page8 id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - みーやんさん» ご指摘ありがとうございます！見当たる限り修正しました、ご迷惑おかけします。読んで下さりありがとうございました、これからもよろしくお願いします (2022年12月13日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アネモネ | 作成日時：2022年11月26日 20時
