Music Room ページ19
ふらふらと校内を歩く。特に目的はなかったけれど一人になりたい気分だったのだ。
なるべく人通りの少ない場所へ行きたくて、人の居ない道を選んで歩いていると音楽室が目に入った。音楽室の前の廊下は誰も歩いていないし、きっと一人になれるだろう。楽器も母の影響で嗜んでいるのでひさびさに触るのもいい。
私はその教室の扉を開いた。すると耳には突然ピアノの旋律が入る。どうやら防音魔法が施されているようで、廊下には聞こえないようになっていた。ピアノを弾いていたのは男の子のようで、そのローブは緑色、つまりスリザリンだ。遠くて顔まではうかがえないが、サラサラの黒髪に華奢、背は高そうだ。
私が来てしまったことでピアノの音は止まってしまう。さらに少年は椅子から立ち上がって教室を出ようとしているみたいだった。彼の音色は繊細で、私の心にじんわりと響くようだった。
「待って！邪魔しないから、もう少し、聴きたい」
なんだか感傷に浸っていたくて、いつもの元気なAから離れたくて彼にそう言う。
彼はその言葉にこちらを振り向いて表情を変えないまま固まった。その顔はシリウスそっくりで、いまさらながら彼がレギュラス・ブラックであることに気が付いた。
彼は何も言わずに踵を返し、再びピアノの前に座った。そしてまた鍵盤をたたき始めた。私はピアノから少し離れた壁に背中を預けて座り込む。
私が知っている彼の情報は少ない。シリウスの弟でスリザリン。未来に死喰い人となってしまう人。その後ヴォルデモートの残忍性を知り、サラザール・スリザリンのロケットを壊すために偽物とすり替えるも、死亡。
彼がどんな人だったのかはわからない。でも、きっとこんな繊細な音色を奏でる彼は悪い人ではないのだ。その証拠に、私は今にも泣きそうだ。膝に顔を埋めて、音色だけに耳を傾けた。何も考えたくなかった。
ピアノの音が止み、衣類のこすれる音がする。そしてコツコツと私の元に足音が近づいてきた。しかし私は顔を上げることができなかった。顔を上げれば、いつもの明るいA・オルロックになって、彼に明るく話しかけるのだろう。素敵な音色だった、と。
でも何となく疲れている私は顔を上げることをしなかった。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
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アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» ありがとうございます！長い作品ですが、お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年1月27日 13時) (
レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - キメラ想像したらめっちゃ笑いましたwwまだ読んでいる途中ですが続きが気になって黙々と読んでいます。更新お疲れ様です、応援してます！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» つなぎ目だらけで舌を出すキメラを生み出してしまいました…wご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - フランケン・アインシュタインはおもろすぎるｗアインシュタインとフランケンシュタインは別物ですよ〜 (2023年1月25日 10時) (レス) @page8 id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - みーやんさん» ご指摘ありがとうございます！見当たる限り修正しました、ご迷惑おかけします。読んで下さりありがとうございました、これからもよろしくお願いします (2022年12月13日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2022年11月26日 20時
