【悲報】鹿狩りのご飯、旨すぎる。 ページ7
『これが、ニンジンとお肉のハニーソテー...』
ごくりと、溢れるよだれを飲み込む音がする。
『いっ、いただきます...!』
お肉を口に運ぶ。
獣肉を干してガッチガチにしたあの固形とはわけが違う。
もう硬くないお肉と言うだけで涙が溢れそうだ。
人の文明で築きあげられたご飯美味しすぎだろ!
「A」
『ん?』
少し怒りを含んだような声で空に呼ばれた。
「あれ、どこで手に入れたの」
『あれ? あ、ブローチの事?』
こくんと首を縦に振る彼。
『それもわからないんだ。目が覚めた時から持ってて...』
それを聞くとパイモンと空の二人は顔を見合わせた。
「A、よく聞いてくれ。それは”邪眼”って言って、強い力を得られる代わりに自分の命が削られてしまうんだ」
「うん。だから、これからはなるべく...いや、絶対に使わないでほしい」
と、親身に話してくれた。ほぼ初対面だと言うのに。
『今後は気を付けるよ』
優しい人たちだな。
「良ければ俺が預かってようか?」
『そうしようかな...ん』
差し出された手の上にブローチを置こうとしたが、どこからともなく躊躇いが生じる。
『ごめん、使う気はもう更々無い。これは本当なんだけど、でも渡したくない』
どうしても誰かに預けるのが、本能で嫌だと感じる。もしかしたら僕が過去に大切にしていた物だったりするのかも知れない。
『思い出したい...』
思わずそう口に出た。
「そうだ! 騎士団の本部に邪眼に関する資料があったはずだぞ。もしかしたらそこに、お前の持ってる邪眼の事も載ってるかもしれない」
『本当!? その騎士団の本部はどこにあるの?』
「もしかして一人で行くつもり?」
『え? そうだけど...だってこれ以上は迷惑かけられないし』
「迷惑だなんておいら達思ってないぞ、それより心配なんだ。お前はどこか抜けてるタイプな気がするしな」
たしかに討伐依頼に武器を忘れるのは確かに自分でも馬鹿だと思う。
「これもなにかの縁だよ」
どうしよう。断ることが出来ない雰囲気になってしまった。
「とりあえず、今は食べよう! 折角のお肉が冷めちまう」
と、また子供のようにお肉を口に運び始めた。
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ぽんぴー - 数少ない原神BLありがたやありがたや。。そして面白いです。更新がんばってください!!!!! (2022年7月27日 2時) (レス) @page14 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎのくろた | 作成日時:2022年7月26日 0時