SAO～君と出会えて幸せです～ (ページ5)

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始まり　① ページ5

「とりあえず、レベリングでもするか…」

周りは、βテスターではない人ばかりだ。
まぁ、レベリングの方法も知らない人ばかりみたいだけど…
僕は1人で良い。いや、1人が良いし…
”もう誰も失いたくないから”

＊

「かなりレベリングしたな…ってもうかなり時間たってるじゃん。でも、もう少しだけやってからかな、ログアウトは」
そうして、もう1度レベリングをしようとしたその時だった。

「あれ、ログアウトボタンがない…ぞ」
「嘘だろ？何でなくなってるんだよ」

所々で不安や困っている声が聞こえる。
暫くレベリングを中止し、その声に耳を傾けていると

「運営は何してんだ！」
「おい、GM早く出て来い！」

不安の声等は、次々と罵声へ変わっていく。
Aの近くで、レベリングをしていたであろう二人の男も慌てたように声を上げていた。

「メインメニューの一番下にあるだろ…？」
「嘘だと思うなら”キリト”も見てみろよ。ほら、どこにもねぇーんだよ」

ログアウトボタンが無くなった…？一時的なバグか？
不審に思ったため、恐る恐る自分でもログアウトボタンを確認する。

「ログアウトボタンがない…⁉」
そう、静かに呟いた瞬間。一瞬の出来事だった。
突然鐘のような大音量のサウンドが響き渡り、全員の体が光り出す。
光量はどんどん増して行き、目も開けられなくなる。
何だこれ…バグやエラーにしては、酷過ぎる。

「βテストの時でも無かったぞ…」
僕のその声は誰に聞かれる事も無かった。
暫くしてあたりを確認すればそこは確かに最初にログインした始まりの街の広場だ。
自分と同じように強制的に移動させられた多くのプレイヤーたちが同じように辺りを見回している。

「プレイヤー諸君、私の世界へようこそ。私は茅場晶彦、今やこの世界をコントロールできる唯一の存在だ」

その言葉から、このデスゲームは始まった。
話を聞いていると、ログアウトが出来なくなったのは僕が感謝していた茅場昌彦本人がした事のようだ。さらには

「―――これはゲームであっても遊びではない」

HP=0が、現実世界での死を意味する…と。
その後渡された手鏡によってアバターが消え現実世界の姿になった事で、事態の深刻さが徐々に現実味を増した。また、既に200人を超える死者が出ているという。
”死”と言う言葉が僕の頭を埋め尽くした。
恐怖に飲み込まれそうになった時

「クライン、付いて来てくれ！」

その言葉でハッとした。そうだ、自分も何か行動をしなくては
こんな世界で立ち止まっている暇などない。
僕は、そっと広場から離れた。