ATK 18 ページ18
キメツ学園に教育実習に来て早くも1週間が経ったある日の放課後。
私は煉獄先生に頼まれて、用務員室を訪ねるために校舎から少し離れたところにある建物を目指していた。
グラウンドでは運動部の元気な声が響いていて、自然と笑みがこぼれる。
機嫌よく角を曲がって古びた倉庫裏の薄暗い道に差し掛かった瞬間、目に入ってきたのは私の千寿郎君を取り囲む数人の男子生徒の姿だった。
「なぁ、千寿郎。お前煉獄先生の弟だからって調子乗りすぎじゃね?」
「A先生とも馴れ馴れしいし本当なんなの?」
「いい子ぶってさぁ!すげぇむかつくんだよ!!」
ダンっ!
千寿郎の顔を殴らずに顔すれすれの壁を殴った男子生徒。
千寿郎君は腰が抜けてしまったらしくへなへなとその場に座り込んでしまった様だった。
その様子をヘラヘラと笑う男子生徒達。
「っ!!千寿郎君!!」
神様なんていないんじゃないかって本気で思った。
先程の衝撃のせいで倉庫の壁の一部が剥がれ落ち、千寿郎君の頭上へ落ちるのが見えた。
全力で駆け出した私は、ゴンッという鈍い音が頭に響いたのを聞いた。
─────
「A!明日、千寿郎の買い出しに付き合ってやってくれないか?」
「喜んで!!師範は遠方での任務だとお聞きしましたが、お帰りはいつごろなのでしょうか?」
「ありがとう!恐らく三、四日は戻らない。俺がいない間、千寿郎に変な気を起こすんじゃないぞ!!」
「寂しーなー。すごく寂しー。だから千寿郎君一緒に寝てくれる?」
「全く……どうしたものか」
呆れて頭を抑えてしまった師範と、控えめに笑う千寿郎君。こんな幸せな時間がいつまでも続いたらいいのになって思ってた。
次の日師範を見送って、少し遠いところに買出しに行くという千寿郎君と一緒に出かけた。
遅くなっても良いように隊服と日輪刀を身につけて。
「暗くなってしまいましたね」
「そだね。大丈夫、ちゃんと日輪刀持ってきてるし!」
神様なんていないんじゃないかって本気で思ったよ。
「お前ェ、煉獄だなァァ?!」
狂ったように笑う鬼は涎を垂らしながら千寿郎君に襲いかかったが、間一髪受け止めた。
「ッ千寿郎君……!逃げて!」
にやりと笑ったそいつの瞳には数字が刻まれていた。
私は炎柱継子といえど十二鬼月と戦えるほどの実力はなかったから、死んでも千寿郎君を守る、それだけしか無かった。
そして、鬼の体が崩壊するのと同時に意識が途絶えた。
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炎香(プロフ) - はむえっぐさん» 私のが初めてだなんて恐れ多いです💦ぜひ読んで欲しい作品が沢山ありますので鬼滅沼へようこそって感じですね!笑 心臓大丈夫ですか?😂すごく嬉しいです!読んでくださってありがとうございました(。_。*) (2021年9月29日 14時) (レス) id: a219c056d8 (このIDを非表示/違反報告)
はむえっぐ - はじめまして!!完結おめでとうございます!!!鬼滅の夢小説読むの主様が初めてだったのですがハマりました!!笑笑最後の解説で意味がわかったときはもう、、、心臓潰れました^^本当にありがとうございました!!! (2021年9月28日 23時) (レス) @page23 id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)
炎香(プロフ) - まゆさん» わぁすごい嬉しいです……!めちゃくちゃ頑張れる気がしてきました!!ありがとうございます! (2021年9月20日 11時) (レス) id: a219c056d8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - これからも更新楽しみにしてます! (2021年9月20日 10時) (レス) id: 3becc2e6ce (このIDを非表示/違反報告)
炎香(プロフ) - myaさん» ありがとうございますm(*_ _)m思いつきのネタで投稿したら大変なことになっていたので驚きましたが、頑張りますのでよろしくお願いします(o_ _)o(o_ _)o (2021年9月2日 7時) (レス) id: a219c056d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炎香 | 作成日時:2021年9月1日 13時