不意打ち?【沖田総悟】 ページ7
あ、って思った。
これ、ダメなやつだって直感的に感じた。
だけど、そんなこと考えてたらもう遅くてー
好きだ、って思ったのー
「次、Aの番な。」
「ん。」
皆と輪になって行われていたのは何でもないただのトランプ。ババ抜きなんて飽きた、とさじを投げていた人も多くて、とっくの昔に6人くらいでやっていた。
だけど、その6人でも限界は来ていて。飽きて来た他の3人らは楽しそうに女の私がいながら、この間の一日局長のお通ちゃんが可愛かったとか、地下アイドルがエ ロかっただとかおおっぴろげ。
そんな男どもの話を右から左へしっかり聞きながらも流すことは忘れず、表情を一つも崩すことなくペラリと一枚とったカードは見事にババ。
ババ抜きなんて負けても別に何もないのに、やはり心の中では、げー、最悪、なんて思いながら、その一枚を適当に手持ちのカードに忍び込ませた。
「はい。」
私のカードを取るのは総悟だった。この中で唯一私と同じようにババ抜きを淡々と行なっているやつだ。こいつと出会ったのは今年の夏。人事異動でやって来た男だらけの屯所に私は嫌気がさしていた。
そんな中でもこいつは一級品で何かと私に突っかかってくる。土方副長の気が知れないな、といつも城内ですれ違うときにクマをつけて歩いていた理由がなんとなく分かった気がした。
つまり、遠回りしてしまったが、私とこいつー沖田総悟は出会ってからまだ3、4ヶ月ほどしか経っていないのだ。
ーおかしなやつだよなぁ…ー
まあ、こんな男除隊の中で育ったのなら、こんなきちがいのやつが生まれても仕方がないのか?と思いながら、するり、ととられたカード。
そのカードを見て柄にもなく、私とそいつは目を合わせて、ニヤリ、と笑った。
その様子を見ていたのか「なんだよお前、ババ持ってんのかよ。」と誰かが私に言った。
「さぁ?」と誤魔化しながら総悟は次の相手に「ん。」とカードを突き出した。突き出されたカードに少し戸惑いながら選んだカードはババで。
総悟の手元が見えていた私はつい笑ってしまいそうになって堪えた、と思ったのに、総悟が私の方を見てクスッと少し笑ったから、つられて思わず私も笑ってしまった。
そして、心の中で、あ、と思ったのだ。
ーこれダメなやつだ…ー
けどそんなこと思ってる時点でもう遅くて。
ー好きだ…ー
そう思ってしまったの
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作者名:咲 | 作成日時:2019年6月16日 2時