検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:20,634 hit

101.酒家妓楼 ページ5

「…よいっしょ…。」

数分もすれば銀さんは先ほどよりも歩きやすくなったのか、少しペースを早めても同じようについてきてくれるようになった。

それでも大分ペースは遅いのだが、この調子なら銀さんを万事屋に送った後、真選組へ報告にはいけそうだ。

一応失敗してしまったことは言わなければならない。


「まぁ、期待はしてねぇからよ。そんな気張っていくなよ?」と出かけ先土方さんに言われた事である。そもそも俺は行かせたくねぇよ、とも言ってくれたのだが、彼はどこまで男前なんだろう。

私がちょっとでも恋愛脳を持ち合わせていれば彼に落ちていたかもしれない。そんな言い方だった。


ーずるいよなぁ…ー

あんなかっこいい顔で、声で。と思い出すとほんと目の保養というか耳の保養というか。もう私みたいな奴は一生言ってもらえないような事な気がする。大事にとっておこう。

ふふ、と少し自分の思考に笑いをこぼすと、左肩から伝わる銀さんの体重が少し軽くなった気がして。

「どうしたの?」と言えば、私の首に回していた腕を取って、2歩くらい私と間を取った。一体どうしたのだろうか。

「銀さん?」
「…お前、あん時の受付ってほんと?」

「え?」とポカンと口を開けた私にガシガシと銀さんは頭をかいた。「聞こえてたんだ。」と言えば「流石に。」と呟いた。

「青くなったのは気持ち悪くなったからだと。」
「それもあるけど…いや、悪りぃ、感じ悪いとか言ってよ。」
「…あれま。」

私があの頃感じ悪かったのは本当だし、銀さんがそう思っても仕方がないような態度をあの時とったことは私もはっきり覚えている。

別にさっきのだってあそこで口を挟まなくてもよかったかな、と思っていた部分もあったため、謝られたことが少し意外で。

「…思い出した?」
「はっきり…正直お前の顔は見えてなかったからあん時の受付がお前だって言われても微妙だが、水くれたことは覚えてる。」
「そ…なら少しは感謝してよね。」

笑ってそういえば銀さんは珍しく素直にコクンと頷いた。レアだなぁ、なんて思っていつつ、止めていた足を動かした。1歩、2歩。


「……お前、花魁だったのか?」
「ん?ううん、私は受付兼雑用係。別に借金あったわけじゃないし、親に売られたわけでもなし。ただ家が近かくて、夜バイトしたかったから。」

102.落花流水→←100.酔眼朦朧



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
184人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

narumi(プロフ) - いつと楽しく読ませてもらっています(*^^*)とても続きが気になります♪応援しています! (2021年2月15日 20時) (レス) id: 5cd2b1b9c5 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - 続き気になる!楽しみにしてます! (2021年2月3日 15時) (レス) id: 9be2d294c2 (このIDを非表示/違反報告)
気空(プロフ) - とても素敵なお話でシリーズ一気読みしてしまいました……! 夢主と銀さんの絶妙な距離感の変化がたまらんです。こういう夢主ちゃんあまり見かけないので巡り会えて嬉しい……陰ながら応援しております! (2021年2月3日 7時) (レス) id: 413d1f6892 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年2月1日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。