113.不言不語 ページ17
「でも銀さん、神楽ちゃん銀さんが出かける前にもうすでにいなかったってことですよね?それなのにまだ帰ってきてないなんて…探しに行きましょうよ。」
心配そうにまつげを下げた新八に「いつもこんなもんだろ?そよ姫のところにでも行ってんじゃねーのか?」と俺はジャンプを開くと、どさりとソファに座り込んだ。
「でも…」と新八は納得いかないように呟いた。俺はため息をついて、行きたくないアピールをする。新八は意外と勘がいい。それはもうわかり切っていることだったので、何とか汲み取ってくれないものかと思えば「銀さんもしかしてめんどくさいだけです?」と言ってくれた。
しかし、勘が良すぎるというのは俺にとって知られたくないものまで推測してしまう、というところが玉に瑕だ。案の定、ん?という顔をすると、「それとも銀さん…」と口を開いた。
「出かけたくない理由でもあるんですか?」
「なんでだよ。」
「なんか、違和感っていうか…ジャンプ逆ですよ。」
「え?」
表紙を急いで見れば確かにさかさまになったそれがあって。俺は「あり?」と声を漏らしつつ内心かなり焦っていた。新八は鋭い目つきをすると「やっぱり何かあるんですね…。」と俺の前に座った。
「なんですか、さっき出かけたときなんかあったんですか?」
「…なんもねぇよ。」
「そんなわけないでしょこんな態度の人が。橘さんにでもあったんですか?」
「………なんで?」とちらりと新八の目をみていえば、盛大にため息をつかれてしまった。「橘さんとの仕事なくなってから神楽ちゃんもそうですけど、銀さんのほうがずっと不自然でしたよ、僕からしたら。」というのだ。なんということだろう、そんな前から。
もうすでに一か月以上の前のことなのに確かに俺はずっとそれを引きずっている。でも新八がそこまで気にするほど態度には示していなかったはずだ。…やはり恐ろしい。
「橘さんに会いましたね?」
「会っては……ない。見かけただけだ。」
「なんで声かけなかったんです?そもそも仕事を断られた理由、僕らまだちゃんと聞いてないですよ。知らね、なんて言ってないでほんとに分からないなら聞いてみてくださいよ!」
「絶対なんか理由があるはずなんですから!」と声を荒げた新八に、原因は俺だよ…と思いつつ、口を開くことはできなかった。
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narumi(プロフ) - いつと楽しく読ませてもらっています(*^^*)とても続きが気になります♪応援しています! (2021年2月15日 20時) (レス) id: 5cd2b1b9c5 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - 続き気になる!楽しみにしてます! (2021年2月3日 15時) (レス) id: 9be2d294c2 (このIDを非表示/違反報告)
気空(プロフ) - とても素敵なお話でシリーズ一気読みしてしまいました……! 夢主と銀さんの絶妙な距離感の変化がたまらんです。こういう夢主ちゃんあまり見かけないので巡り会えて嬉しい……陰ながら応援しております! (2021年2月3日 7時) (レス) id: 413d1f6892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲 | 作成日時:2021年2月1日 20時