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「あ、妹は…お嫁に行きましたので…。」

顔はなくなった母親に似て綺麗、とは言われる程度。だけど、性格というのは大事だ。

15で嫁に行った妹とは対照的に、私はもう23なのに恋人の影すら無かった。というか、今までにそんな事一度もない…。

妹とはうまくやれているといえば嘘になる。半ば駆け落ちのように家から出て行った彼女は私たちと縁を切っているようなものだった。

だから向こうのお財布がどれだけ潤っていようと私達には全く関係のない、踏み込めない事なのだ。

「……なるほど、ね…。」

私の表情から全て察したかのように彼は「悪かったな。」と頭をかいた。別に彼が謝る事はなかったのにそうさせてしまったことに少し罪悪感が湧いた。

また顔をうつむかせた私に彼は、大きな手で私の頭をぽんぽんと叩いた。なんだか暖かい。

そっと目線は下げたままで、両手で彼の、私の頭を置かれた手に触れた。白い息が出るほど寒い冬なのに、やっぱり手は冷たいとは思わなかった。

なでなで、とごつごつした大きな手を撫ぜる。父親とは違う、けれど嫌いじゃない、むしろー



「好き…」


ぽつり、と呟いた。今だけ、今だけーこの手は私のものー、そんな錯覚に見舞われた。ふっと微笑んだ後、はっと気がついた。


ワタシハイッタイナニヲー


しまった、と思い、慌てて手を離して、彼を見上げる。だけど、目を丸くしたのは私だった。

「わ、わりぃ!」

そう大声で叫ぶと、背中を向けて走り出した。びっくりした。まるで林檎のように真っ赤な顔をして彼が私を見つめていたから。

私は彼の背中が見えなくなるまで見つめていたけど、彼のあの真っ赤な顔を思い出して、なんだか急に恥ずかしくなった。

おんなじくらい真っ赤になった顔を急いで少し大きめのマフラーで隠す。


また会えたらいいな、なんて思うのは私だけだろうか。

冬【???】→←2



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(プロフ) - 雪華さん» 是非、私の勝手な都合で書いている短編集を読んでいただけると幸いです。 (2019年6月2日 13時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪華さん» おそくなり、すみません。私は自分の好きなようにお話を書いておりまして、お願いされる形で書くのは正直読んでくださっている読者様方をがっかりさせそうで自信がありません。ですのでそう言ったお願いはできかねます。申し訳ありません。 (2019年6月2日 13時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - お願いあるんだけど良いですかな?ドラゴンボールのキャラ×18歳のメイ・チャンの恋愛短編集を作って貰いますかな?メイ・チャンは悟空達の仲間で子パンダのシャオメイと一緒で長男のグリードと次男のエンヴィーの妹を設定で (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年9月17日 0時

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