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「私の村では双子は忌子だと言われてきました。今までも双子が生まれると、どちらか片一方を殺してきたんだそうです。そして大体殺されるのは女か、下の子か。私は弟と2人でした。」

妙に落ち着いて話す彼女は、何かを我慢しているようにも、悲しそうにも見えなかった。ただただ申し訳なさそうに語り続けた。

「もちろん、私は殺される対象でした。だけど、父も母もこの村の出身ではなくて。どうしても私を殺すことができなかったらしく、結局戸籍を弟のだけ出して、私を家の中でずっと育ててきたそうです。

私は子供心に外で遊ぶ弟が羨ましかった。私の存在を口外しては困るので、弟にも合わせてはくれませんでした。弟は私の存在を知らなかったけど私はいつも外で遊ぶ弟を見ていたから、あれが自分の弟だと知っていました。

そうして8つになるまで私はずっと窓から外を眺めるだけでした。

だけどある日、窓から小さな一輪の花を見つけたのです。そういえば、今日は母の誕生日だと、私は何度も外に出てはいけないと言われていたけれど、少しだけなら、と外に出てしまったんです。

案の定、小さな村だったからすぐ見つかりました。そして皮肉なことに私は鏡を見たことがなかったからわからなかったけれど、私は弟にそっくりでした。

だからすぐ、私と弟が双子だとバレてしまったんです…。」


雲ひとつない空を見上げながら彼女はそこまで1人で語った。俺は静かに話を聞いていた。ぎゅと硬く手を握った彼女を見逃しはしなかった。

「そ、れで…」

そこでようやく彼女は言葉を詰まらせた。何か思い出したくないかのように彼女は手を震わせていた。

「家族みんな、殺されたんです…忌子である私じゃなくて……

長く生きた忌子は殺すと村に災いを起こすと恐れられてきました。だから村の者は生まれてすぐ殺していたんです。だけど私はもう8年も生きてしまっていたから…だから、村のものは皆、代わりに家族の命を差し出したのです。

忌々しい忌子め、と村のものは私にそう言いながら目の前でまず弟を殺しました。

汚らわしい忌子め、と村のものは次に私の母を殺しました。

そして最後に、お前なんか死んでしまえと、私の父を殺しました。

私は、泣けませんでした。何故そんなことが起こっているのかも理解できないままに皆失ってしまった。ただわかるのは自分が必要とされていないということだけ。」

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作者名: | 作成日時:2017年1月16日 1時

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