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沖 「…何をそんなに怒ってるんでぃ。」
「怒ってない。」
ブスッとした顔をしながらコタツの中で総悟を待っていれば、襖をガラッと開けた総悟の一言目がこれ。
説得力はなかったかもしれないけど、少なくとも総悟に怒っているわけではないから許してほしい。
沖 「厄介な怖い目つきの副長と沖田隊長の旧友なんて言いやがるから誰が来たかと思えば。」
「ちょっと待ってそれ私?さっきのびくついた情けない隊士が言ったの?殺す。」
なんだなんだ、厄介な目つきの怖いって、確かに目つきは悪いかもしれないけど!厄介って!
プンスカと怒りながらバリバリと出された煎餅を食べながらお茶をすする。これは怒りが収まらない。故に食欲も止まらない。
「おかわりないの?」
沖 「図々しいやつでぃ。昔はもうちっとおしとやかだったじゃねぇか。」
「人は変わる。故に私も変わる。それに、そんな昔のこと忘れた。」
ずずっと最後のお茶をすすれば、呆れの含んだため息を総悟はこぼしながら「あーあ、素直じゃねぇ、可愛くねぇ。」と私を見て言った。
素直じゃないのも、可愛くないのも私が1番よくわかっている。それに、もし私が素直で可愛かったら。
もしもそうだったら。
きっと土方さんのことは嫌いになってなかったはずなんだ。
ああ、でもそうか。ミツバ姉がいるからそんなことには絶対ならないんだ。どう転んでも土方さんのことは嫌いになるしかないんだ。
先ほどとは正反対にしゅんと1人で落ち込んだ私に総悟は「煎餅とって来てやるよ。」と立ち上がった。
あいつが誰かのために動くなんて珍しい。
トンッと閉められた襖を見つめながら私は昔のことを思い出していた。
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作者名:咲 | 作成日時:2017年1月16日 1時