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「銀時…。」
目を丸くして目の前に立っていたのを見たのはつい1ヶ月前くらいのことであろうか。
攘夷戦争が終わってからは1度と会うことのなかった俺たち。そんなもんだったから連絡先も知るはずがない。
銀 「おーう、泣き虫。久しぶりだな。」
俺も内心驚きはしたが、表情には出さず、適当に、のらりくらりと対応した。「泣き虫じゃない!今は!」と言っていたから少なくとも流石に大人になってからはそんなことはなくなったんだろう。
そして、昔は泣き虫だったことは認めているみたいだった。
「あんた、こんなとこにいたんだね。あの後なんも言わずにいなくなっちゃったから、死んだのかと思った。」
銀 「勝手に人を殺すな。」
ケタケタと笑いながらそう語る彼女のいる場所は病院の屋上の上だった。
もう、涙はためてはいなかった。
「なんかー、人の命って本当にあっけなく終わるんだね。」
「私もうすぐ死ぬんだってさ。」と言いながらフェンスに肘をかけ、遠くの空を見つめていた。
そういえば、こいつはいつも泣きそうな時は木の後ろで突っ立って空を眺めてたっけか。
そんなことをふと思い出した。溢れ出しそうな涙をこぼさないようにかこいつはいつも空を見上げていた。
今回もそれは同じで。でも涙はたまっていなくて。
銀 「怖いか?」
一言そう聞けば、一瞬目を見開いたが、すぐにへらっと笑い、「流石にね。」と静かに告げた。
「銀時…私が死んだら 銀 「死ぬのか?」
意地悪な質問だったとは思う。余命も告げられて、どうすることもできなくなった体でこれ以上期待なんてできやしないことも分かっていた。
それでも。
俺はこいつの本音をどうしても聞きたくて。
意地悪な質問を投げかけた。
少しだけ冷や汗をかいていた自分がいた。口を固く結び、そいつが言葉を発さない時間が異様に長く感じた。
銀 「死ぬのか…?」
切なくて、心が砕けそうだった。それでも俺は質問を続けた。
本音をこいつから聞くまでは。
こいつをいかせることはできない。
本能がそう語っていた。
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作者名:咲 | 作成日時:2017年1月16日 1時