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「ええっと…。」
土 「なんだこいつは。」
沖 「土方さん言ってたでしょ?人手が欲しいって。だから見つけてきてあげましたぜぃ。」
ああ、この人がヒジカタサンなのか、じゃあこっちがオキタサン。なんて悠長に考えてしまう私をどうか許してほしい。
私だって訳がわからず連れてこられてもう頭がいっぱいいっぱいなのだ。
土 「で、掃除、洗濯、家事、買い物、全部できるんだろうな。」
ああ、なんて怖い人なんだろう。そう思うのは多分仕方がないと思う。これでもかと睨まれているんだから。
てゆうか何?掃除、洗濯、家事、買い物?
「…ワタシハパシリナンデスカ?」
意味が分からなくて状況が理解できなくて。出てきた言葉はそれだけだった。
「はあ?」ともっと眼光を鋭くするヒジカタサンをよそにオキタサンはくつくつと笑っている。なんていうゲスものなのだ、あの人は。
土 「総悟、どういうことだ。」
沖 「いやねぇ、ちょうどいい雌豚が歩いてたんでねぇ。つい連れてきちまいました。」
土 「調教するつもりだったのか。」
え、なんでこの人も当たり前のように調教なんて言っているの?やっぱりここの人たちは頭がおかしいのだろうか。
会話を続ける2人に私はどうもついて行けなくて、ぼけーっとしていた。私は一体どうなるんだろう。
沖 「とりあえず、今日は頼まぁ。人手が足りないんでぃ。」
ふと顔を覗き込まれ、我に返った私は、まあこの人には借りもあるしと、「はい。」なんて簡単に返事をしてしまった。
沖 「おお、ありがてぇ。んじゃまぁ、期待してるぜぃ。」
ふりふりと手を振りながら横顔でそういうオキタサンみたいな人に私がときめきを感じる日は来るのだろうか、なんて思いながら突っ立っていた。
道のりは長いな、なんて思いながら。
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作者名:咲 | 作成日時:2017年1月16日 1時