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43.ワケアリ ページ45

「今日は、ありがとうね。そうちゃん。」

ニコリと笑ったミツバと総悟とは対照的に、銀時とAはげっそりとした顔でその2人を見つめていた。

レストラン後、ほんの少し嬉しさを帯びた顔で楽しみに彼らに純情についていったのが間違いだった。

そもそもあの姉にべったりの総悟を見るのも嫌だったし、ミツバの無茶振りにも背中越しの総悟と有無を言わせない感じから断ることもできず。

やっとこさ婚約者の家まで帰ってきたAたちであったのだ。

「そうちゃん、体には気をつけてね。」
「はい!姉上も!これからは毎日会えますし…」

嬉しそうな総悟とは裏腹にAは少し違和感を感じた。蔵馬…どこかで見た気がする。

ーどこだった…?ー

考え込むAに銀時が怪訝そうに「どうした?」と声をかけたが、反応はない。

「そうちゃん、それで、あの…あの人は…」
「やろーならあわせねぇぜ。今朝も顔色1つ変えずに出て行きやがった。薄情な野郎でぃ。」

あの人、とは誰なのか。急に機嫌の悪くなって、敬語でなくなった総悟の様子にAも少し驚いた。

そのまま歩いて行ってしまった総悟を追いかけるものはいなくて。

「あーあー、置いて行っちまったよ。」
「ごめんなさい、小さい頃から甘やかして育ててしまって…」

お姉さんが申し訳なさそうにそして少し切なそうに銀時に笑った。Aは総悟の背中が自分とは同い年の背中に今だけは見えた。いつもはもっと大人びているから。

「ほんと、オタクの弟君、もうちょっとちゃんと友達と彼女は選ばなきゃいけないよ?」
「ふふふ、おかしい。やっぱりあの人とにてるわ…そうちゃんが懐くわけだわ。」

「でもあなたは特別なのかしら?」とお姉さんは私にだけは疑問形で尋ねてきた。正直、訳が分からなくて首をかしげる。

「今日はありがとうございました。」

ミツバが頭を下げたと同時に目の前をパトカーが通った。見たことある車だ。

いつも倉庫の片隅に留まっているその車から降りてきたのこちらも紛れもなく見たことのある人で。

「あ、副長…」
「…とうしろさ…」

瞳孔をもっとかっぴらいた土方は驚いた顔を見せている。もちろんその視線はAには向いておらず。

ーああ、そうかー

その関係に気がついた時にはもうすでにミツバは目の前で倒れていた。

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作者名: | 作成日時:2017年5月15日 15時

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