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36.辻褄合わせ ページ38

「おい、誰だよあの別嬪。」
「局長のヤロー、お妙さんという方がいながら…。」

何やら隊士5、6人で細い襖の先をじっと見ながらブツブツと呟いている。確かあそこは客室だった気がする。

…はて、そんな人いるのだろうか。

Aが真選組に入隊してから真選組を訪ねてくる人なんてそうそういなかった。いや、訂正しよう。まともな人が訪ねてくることなどなかった。

極悪人くらいしかやってこない真選組にAはなんとなくだが、その今回のまともな訪問者に興味を抱いた。

「私にも見せてくれ。」
「しぃ!声がでけーよ!ほら、嬢ちゃん、こっからなら見えるだろ。静かにな。」

相変わらずの嬢ちゃん扱いは隊士たちから抜けていなかったが、動乱の時でのAの活躍と日頃の真面目さ、そしてたまの天然さ。

そんなこんなでなんとなくは仲良くなっており、会話をするくらいにはなっていたのである。

開けてもらった下の方から、そっと襖を覗き見る。大笑いする近藤局長と、隣には…。

「あ。」

その瞬間、ボカン!という馬鹿でかい音がする。体がふわっと浮き、飛ばされる。

なんとか体制を立て直し、上手く着地すれば机の上。近藤は飛んでくる隊士たちに特に違和感を感じてないようだったが、目の前の客人もそうだった。

「総悟、もうちょっと静かにできんのか。」
「待ってくだせぇ、近藤さん。こいつの首だけ」

そう言って今にも首を切り落としそうな雰囲気で総悟は山崎の首根っこを掴んでいる。


ー沖田隊長のお姉さんだったのか…ー

実はそっと覗く前に、山崎が「お前ら知らねーの?あれ沖田隊長のお姉さんのみつばさんだよ。やっぱり、上がしっかりしてるとしたはちゃらんぽらんに…」なんてことを言ってるのが聞こえたのだ。

覗いてみてびっくりしたのは紛れもなくあの武州で道を教えてくれたタバスコ激辛せんべいのお姉さんだった。

あの時「また会える。」と言われた意味がやっとわかった。

そういえばどこか面影があるような気もする。

「そーちゃん。」

お姉さんが一言そう言った。Aは机の上から動かず、じっと2人を見つめる。もちろん総悟も反論したい何かがあるのか不機嫌な目でお姉さんをじっと見つめているー

はずだった。

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作者名: | 作成日時:2017年5月15日 15時

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