35.のっとマヨネーズ ページ37
「副長…昨日寝れなかったのか?」
大きなクマを作ってご飯を食べる土方はらしくない。らしくなさすぎる。左手にもつのは白いご飯の茶碗。
ー白いご飯の茶碗?ー
そう、あの黄色の物体がないのだ。早々に気づいたAをよそに隊士たちは秒で気がついたのであろう。今度は何が始まったのだと顔を曇らせる。
土方のオタク事件、トッシーしかり、マヨネーズ工場見学マヨ一日三本消費しかり、土方が正常でなくなる時は何か起こるときなのだ。
ただ、横で橋を進めるAはマヨ三本消費事件など知らない。オタクのトッシーについてはついこの間の話だが、あれは妖刀の所為でもある。
やっぱり昨日遅かったのはお腹を壊してたからなんだな、と1人で勝手に納得していた。
黙々と箸を進めるAの後ろでは何やら騒がしい。隊士同士が押し合い、何か押し付けあっている。
「お前が行けよ!今日のあの副長の感じ…昨日何かあったに違いない!」
「聞いてこい!ザキ!」
どんっと押された背中の主は余程強い力のせいなのかバランスを崩しながら、Aの隣にダイブした。
流石に箸を止めたAは「大丈夫か。」と山崎を起こすのを手伝う。優しい。
「そういえば、話すのは初めてだな…よろしくおねがいします。」
「あああ!こちらこそ!」
「よろしく。」と握手を交わす山崎は何やら嬉しそうだ。それもそのはずかもしれない。男くさいこの真選組に紅一点のAはなんと言おうとも唯一の女。
そしてなかなか別嬪である。少々変人ではあるが。
頬を緩ませ、にたにたしながら目的を果たさず帰ってくる山崎に隊士達は「ふざけんなよっ!」と殴りかかる。
結局その殴り合いが終わった頃にはAの姿もノーマヨ土方の姿も忽然と消えていたのである。
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作者名:咲 | 作成日時:2017年5月15日 15時