【銀魂】居場所【沖田総悟】 (ページ36)

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34.マヨネーズのお化けページ36

「寝れねぇな...。」

土方は呟いた。そもそも寝れないのはいつものことでもあるのだが、今日はどう考えても自分の左隣にある大きく空いた穴のせいだった。

独り言で呟いたつもりだったが、案外隣室のAも眠れなかったのか、「そうです、ね…困ったな…。」と返事が返ってきた。

なんとなくぎこちない敬語に土方が怒りを覚えることはないが、Aの育ってきた環境や状況がなんとなくわかる気がする。

「そういえば…うやむやになっていたが…募集隊士で合格したやつはいるのか？」
「あ、ああ…」

「それがだな…」と少し申し訳なさそうにおずおずとAは語り出した。結論から言ってしまえば、合格者0らしい。

「みんな、私を見て馬鹿にしてたな…」

ぼそりと呟かれたその言葉に土方はなんとなく納得してしまった。兎に角ついこの間の動乱でAの強さは痛いほどに分かったのだが、あの見た目である。

いかつい隊士が来るかと思いきや、自分より年下で、格下の相手が来たもんだ、と安心したのだろう。

お陰で新人隊士0という異例の形になってしまったのである。

正直、人出は欲しかったが、相手をなめてかかるような馬鹿なやつはいらない。土方はおもむろに立ち上がる。ラジオを持ち出し、かちゃりとスイッチを入れた。

『さぁ！始まりました、深夜のこれどーでショー！今日のお話はですね…』

語り出したラジの意味をAも理解したのかそれ以降、2人が会話を交わすことはなかった…はずだった。

『ななな、なんと！そこにマヨネ～ず、と言いながら歩いてくる足のないお化けが…』

「なななななななんだよこれ。ばばばばばばば馬鹿らしいな。おおおおおおおい、なぁ、A？」

と既に寝息をたてて寝始めたAに土方は虚しく語りかけていたのである。