【銀魂】居場所【沖田総悟】 (ページ35)

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33.慣れない自室ページ35

大きくあいた壁の穴は1週間もたてば直るらしい。

Aはふかふかの布団に潜り込み、天井の木目をじっと見つめていた。隣室の土方はもう夜の12時だというのにまだ布団にはいない。というかそもそも部屋に姿が見当たらない。

おなかでも痛いのだろうか、なんてことを思っていた。いつもご飯に黄色いあのマヨネーズをたっぷりとかけていることはAでも知っていた。いつか体になにか異変が起こりそうだとひしひしと思っていた。

大きくあいた穴にそんなことを考えながら目を向ければ、そっと真っ暗な部屋に光が差し込んできた。淡いオレンジ色のろうそくの光。

「副長...。」

思わずそう呟いてしまった。その小さな声が聞こえたのか土方は「ああ、起きたのか。すまねぇな。」と穴から顔をのぞかせることもなくいった。

「おなかの具合は大丈夫か。」なんてつい聞いてしまいそうだったが、そこはぐっとこらえた。そもそも土方とは同じ真選組で部下と上司という薄っぺらい関係だ。松平からいろいろ話を聞いていたとはいえ、馴れ馴れしくするつもりもない。

だけれども不本意ではありながらもこの自分の部屋ではあるけれども、自分の部屋ではない雰囲気というものにAは慣れない。こんなことならさっさと寝てしまえばよかったのである。

うずうずとはしながらもAは目を閉じた。そうしないと寝られるはずはないからである。瞼から漏れる光が少し気になったが、それも数分としないうちに消えていた。

寝息は聞こえない。

時計の音だけが妙に耳をたたいた。何度か寝返りを打ちながらもAは眠れそうにないこの状況をどう打破しようかと考える。そもそも今日寝れたとしても残り6日間はこの状況で眠らなければいけないのである。